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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【若手ポスターセッション4】
妊娠中にTC療法を施行した卵巣卵黄のう腫瘍の1例
佐々木 泉1, 高島 明子1, 安達 知弘1, 横川 桂1, 萬来 めぐみ1, 石田 洋昭1, 瓜田 麻由美1, 徳山 宣2, 蛭田 啓之2, 竹下 直樹1, 木下 俊彦1
東邦大学医療センター佐倉病院産婦人科1, 東邦大学医療センター佐倉病院病院病理部2
【緒言】妊娠中の悪性腫瘍の合併は稀である.今回妊娠中に卵黄嚢腫瘍と診断され,妊娠中にTC療法を施行した症例を経験したので報告する.【症例】26歳0経妊.7週0日に他院で卵巣腫瘍を指摘され,当院紹介受診.超音波検査では右卵巣に多房性で,充実成分を伴う10×13cm大の腫瘍を認めた.血流は認めなかった.腫瘍マーカーはAFP 380.5ng/ml,CA125 71.9U/ml,SCC 2.8 ng/mlと上昇を認めた.成熟奇形腫を最も疑い,5週1日に卵巣腫瘍摘出術を施行した.病理結果は卵黄のう腫瘍であった.患者及び,家族にインフォームドコンセントを行い,妊娠継続のまま化学療法を行った.胚細胞腫瘍に対する化学療法のレジメンはBEP療法が推奨されているが,妊娠中のガイドライン(International Gynecologic Cancer Society:IGCS,Europe Society of Gyneologic Oncology:ESGO)ではTC療法が推奨されていることから,本症例においても妊娠18週からTC療法を開始し分娩までに4クール施行した.妊娠経過中特記すべき大きな副作用はなく経過しており分娩後右付属切除術を行う予定である.【考察】妊娠中の悪性腫瘍の取り扱いは,母体治療を優先とするが,同時に胎児影響の少ない治療が選択される.BEP療法実施例で関連の程度は不明であるが胎児脳室拡大が報告されている.又エトポシドによる児の白血病発症のリスクも懸念される.タキサン系薬剤は胚細胞腫瘍に対しても有効であり,またタキサン系薬剤やカルボプラチン使用例では胎児への悪影響はないと報告されている.妊娠中の腫瘍マーカーを含む卵巣腫瘍の検査及び診断,化学療法を含めた加療方法を症例にあわせて行っていくことが重要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
250-250, 2014
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