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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【若手ポスターセッション4】
妊娠中および産褥期に血栓性血小板性紫斑病を発症するも,血漿交換が著効した1例
市山 卓彦, 山本 祐華, 大石 みのり, 近藤 さや, 竹元 葉, 平井 千裕, 稲垣 徹訓, 斎藤 知美, 依藤 崇志, 牧野 慎太郎, 板倉 敦夫, 竹田 省
順天堂大学産婦人科
【緒言】血栓性血小板性紫斑病(TTP)は,末梢の細血管が血小板血栓によって閉塞される疾患で,妊娠中の発症は母体死亡率10〜25%に及ぶとされる.約30%に妊娠高血圧腎症(PE)を合併するが血漿交換(PP)が有効とされている.今回我々は分娩前後にTTPを発症し,その際に異なる病状を呈した1例を経験したので報告する.【症例】23歳0経妊0経産.19歳時に混合性結合組織病(MCTD)と診断された.21歳時にTTPを初発(血小板1.7万/μl,ADAMTS13活性は感度以下)したが,PPによって軽快した.MCTD合併妊娠のため初期から当院で管理されていた.妊娠35週に発熱,出血傾向,頭痛を認めたため,当院膠原病内科を受診した.血小板1.2万/μlで破砕赤血球も認めたため,TTP再燃の診断で緊急入院となった.それまでPEは認めていなかったが,入院時より高血圧と尿蛋白を認めた.PPを7日間施行し血小板19.3万/μlまで回復したところで,妊娠36週1日に帝王切開術を施行した.児は1824gの男児,Apgar 8/9であり,NICUに入院となった.母体は術後3日目に血小板1.1万/μlまで低下し再度TTPが発症した.分娩後の再燃では高血圧は認めず,軽度尿蛋白を認めるのみであった.PPを11日間施行し,更に術後6日よりPSL 40mg/dayを投与開始し,術後27日で退院した.【結語】本症例は迅速な診断,適切な治療によって,母児ともに救命し得た.分娩前の発症時のみに高血圧を合併したことから,こうした症例の解析は子宮・胎盤循環障害によるPE発症のメカニズム解明に貢献できると考えた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
251-251, 2014
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