|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【若手ポスターセッション5】
胎児発育不全・羊水過少を認め精査後診断した先天性風疹症候群の1例
河野 愛, 高橋 英幹, 永田 瑞穂, 春日 晃子, 佐々木 重胤, 松浦 眞彦, 山本 樹生
日本大学医学部産婦人科
【はじめに】風疹流行の再燃に伴い,先天性風疹症候群の報告も増加してきている.我々は胎児発育不全,羊水過少を認め精査後診断した先天性風疹症候群の一例を経験したので報告する.【症例】22歳.0経妊0経産.保育士をしていた.自然妊娠され,他院で妊娠16週0日まで妊婦健診を施行していた.初期検査で風疹抗体価が256倍と上昇していたが,追加検査は行われていなかった.妊娠16週5日に前医紹介受診し,妊娠23週頃より子宮内胎児発育不全,羊水過少傾向を指摘されたため,妊娠24週0日に当院紹介受診となった.当院受診までの経過において母体に風疹罹患症状の出現は認められなかった.精査目的に入院し,ペア血清にて風疹抗体価512倍と上昇を認め,風疹IgMも高値であった.妊娠25週1日に血流再分配が出現し,妊娠26週4日で臍帯動脈血流の途絶が出現したが,胎児心拍モニタに異常所見を認めず,体重増加も認めていたため,厳重に経過観察とした.同時に児の心拡大傾向を認めたが明らかな心奇形を認めなかった.妊娠32週0日,胎児心拍モニタ上,基線細変動の消失,変動一過性徐脈が出現し,心拡大増悪も認めたため胎児機能不全の診断で緊急帝王切開分娩となった.児は650gの超低出生体重児,Apgar scoreは1分値3点,5分値5点であった.児の出生後検査では風疹IgMの上昇と咽頭ぬぐい液・尿からのウイルス検出,白内障を認め先天性風疹症候群の診断となった.心臓に関しては,PDA,肺高血圧症による心不全を認めたものの,心奇形は認めなかった.【考察】風疹罹患時の妊娠週数により先天性風疹症候群発症リスクは異なり,ガイドラインに則って適切な周産期管理を行うことが重要と考えた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
255-255, 2014
|