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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))

【若手ポスターセッション5】
胎生期に胎児の脳室拡大を認め,出生後にCMV感染症と診断された2症例


鈴木 崇公, 向 麻利, 古田 直美, 幸村 友季子, 内田 季之, 鈴木 一有, 杉原 一廣, 伊東 宏晃, 金山 尚裕
浜松医科大学周産期センター


【緒言】胎内サイトメガロウイルス(CMV)感染症は,乳幼児に神経学的後遺症を引き起こす最も頻度の高い周産期ウイルス感染症である.近年,若年者におけるCMV抗体保有率の低下に伴い,妊婦がCMVに感染する機会が増え,ひいては,胎内CMV感染症の発生の増加につながることが懸念されている.今回我々は,胎生期に胎児の脳室拡大を認め,出生後にCMV感染症と診断された2症例を経験したので報告をする.尚,当院では妊娠初期検査において,希望者に対してCMW IgGおよびIgMの抗体価を測定している.【症例1】35歳,1回経産,無月経となり妊娠と診断された.妊娠8週と14週時に感冒症状あり.妊娠11週時CMV IgG EIA19.2,IgM3.92と陽性であった.妊娠16週再検にてCMV IgG EIA18.8,IgM3.72と陽性であったが,エコーにて異常所見を認めなかったため経過観察とした.妊娠24週より脳室拡大認め,MRIならびにエコーで慎重に経過を観察した.妊娠38週2556gの男児を経腟分娩.胎盤,新生児尿,新生児血よりCMV感染確認し,ガンシクロビル投与.児は出生後発達遅延,難聴を認めた.【症例2】31歳,1回経産,自然妊娠.無月経となり妊娠と診断された.妊娠初期に感冒症状なし.助産院で分娩予定であったが,妊娠30週時両側脳室拡大あり当科へ紹介された.初診時CMVIgG21.4,IgM4.72.MRIならびにエコーで慎重に経過を観察したが,脳室拡大は増悪しなかった.妊娠39週2618gの男児を経腟分娩.胎盤,新生児尿,新生児血よりCMV陽性を認め,ガンシクロビル投与.難聴,発達障害は認めず外来通院中.【結語】CMV未感作の妊婦が増加する中で,啓蒙活動などの妊婦への感染予防策が急がれる.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(2) 256-256, 2014


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