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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【若手ポスターセッション5】
頭位で臍帯脱出をきたし重症新生児仮死で出生した新生児に脳低温療法を施行した1例
児嶋 真千子, 冨尾 賢介, 永松 健, 瀬山 貴博, 松葉 悠子, 中山 敏男, 設樂 理恵子, 河合 有希, 小松 篤史, 山下 隆博, 大須賀 穣, 藤井 知行
東京大学産婦人科
【緒言】臍帯脱出は全分娩の0.5〜0.8%を占めるが,頭位での頻度は低い.新生児の低酸素性虚血性脳症に対し,冷却による脳保護を目的とした低体温療法が近年注目されている.今回,頭位で臍帯脱出をきたした重症新生児仮死の児に低体温療法を施行したので報告する.【症例】32歳2経妊0経産,身長162cm,分娩時体重59.2kg(非妊時56kg).妊娠19週で妊娠糖尿病のため食事制限を行ったが,児のwell-beingは良好であった.妊娠39週5日,前期破水にて入院.続発性微弱陣痛のためオキシトシンによる陣痛促進を開始.3時間半後に子宮口は全開大となるも,児頭下降は不良(St±0)であった.子宮口全開から3時間半の時点で突然50bpmの遷延性除脈が出現.内診上,前方前頂位で,1時方向より脱出した臍帯を触知した.以後,児頭挙上を継続したが,児心拍は70bpm前後で徐脈が持続した.Crash Inductionによる全身麻酔下で,緊急帝王切開術を施行.徐脈出現から20分後に児を娩出した.出生体重2775g男児Apgar Score 1点(1分)/3点(5分)UApH 7.056.児は挿管後NICUに入室し,生後3時間より脳低温療法(33.5℃)を開始した.脳波は日齢0では左高度抑制,右中等度抑制だったが,徐々に正常化し,日齢4に脳低温療法を終了した.聴性脳幹反応,頭部MRIでは異常を認めなかった.日齢15に経過良好で退院となった.【結語】低酸素性虚血性脳症では児心音低下から出生までの時間が重要であるが,本症例では30分以内で娩出しえたことに加え,出生後に低体温療法を施行したことで,脳症発生の抑止につながった可能性があると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
258-258, 2014
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