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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【若手ポスターセッション5】
育児放棄に至った救急母体搬送3症例
山本 ゆり子, 古賀 絵理, 尾崎 優美, 堀田 裕一朗, 谷口 華子, 高見 美緒, 伊藤 朋子, 岩田 亜貴子, 茶木 修, 中山 昌樹
横浜労災病院産婦人科
【緒言】本邦では平成20年現在で約3万人が乳児院および児童養護施設に入所しており,その数は増加傾向にある.産婦人科医は妊娠期から母親に関わるため,育児困難と思われる家庭を見つけるという観点から重要な立ち位置にいる.当院で出生し,その後母親が児の育児を放棄した症例を3例経験したため報告する.【症例1】30歳3回経妊1回経産,26週1日で切迫早産と診断され当院へ母体搬送.来院時分娩不可避の診断で緊急帝王切開施行.児は修正43週2日までNICU入院.児が10ヵ月の際に児童相談所から児童虐待の疑いで当院小児科へ診察依頼あり.小児科入院を経て児は児童相談所へ保護された.【症例2】40歳1回経妊1回経産,35週0日で前期破水と診断され当院へ母体搬送.陣痛発来し,35週1日で早産.児は修正39週4日までNICU入院.退院の1週間後に母親が飲酒運転で検挙されたことをきっかけに児のネグレクトが判明し児童相談所へ保護された.【症例3】44歳5回経妊2回経産,未受診妊婦.妊娠高血圧症の診断で当院母体搬送.来院時高血圧緊急症と判断し推定26週で緊急帝王切開.児は修正46週までNICU入院.児の入院中の母親の言動から育児困難が想定されたため退院後そのまま乳児院へ保護された.【まとめ】3症例の共通点として,経産婦,早産,救急搬送症例,母体アルコール依存や未婚などの社会的問題が認められた.【結語】産婦人科医師は分娩のその先にある児の養育環境までを想定し,支障が出る可能性の高い症例を早期に認識し,チームで介入することが重要と考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
259-259, 2014
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