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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))

【若手ポスターセッション6】
記憶障害を契機に発見され,卵巣奇形腫摘出後に軽快した抗NMDA受容体脳炎の1例


林 伸彦1, 石川 博士1, 楯 真一1, 糸井 瑞恵1, 秦 利衣1, 錦見 恭子1, 碓井 宏和1, 三橋 暁1, 常山 篤子2, 渋谷 和幹2, 清川 貴子3, 生水 真紀夫1
千葉大学医学部附属病院産婦人科1, 千葉大学医学部附属病院神経内科2, 千葉大学医学部附属病院病理3


【緒言】抗NMDA(N-Methyl D-Asparate)受容体脳炎は,卵巣奇形腫が原因と考えられるようになってきた.腫瘍摘出により症状の速やかな改善が期待できるため,妊孕性温存が必要な患者では腫瘍の核出が行われる.今回我々は,脳炎の原因検索中に発見された両側卵巣奇形腫に対して腫瘍核出を行い,片側が未熟嚢胞奇形腫であった症例を経験したので報告する.【症例】26歳の未妊婦.発熱・頭痛後の短期記銘力障害・易怒性の上昇を主訴に,前医を受診した.頭部MRI・脳波は正常で,解離性障害と診断された.抗不安薬の投与で改善しなかったため,当院に紹介された.髄液細胞数の増加から脳炎と診断し,アシクロビルを投与したが,症状は改善しなかった.超音波・CT検査で両側卵巣奇形腫(右5cm,左7cm大)を認め,抗NMDA受容体脳炎を疑い,両側卵巣腫瘍摘出術を施行した.摘出物病理検査にて,右卵巣は成熟嚢胞奇形腫,左は未熟嚢胞奇形腫(Grade2)と診断された.両側の卵巣を温存したため,補助化学療法(BEP3コース)を行った.術後,記銘力障害は著明に改善した.また,術前の髄液中の抗NMDA抗体が陽性であったことが判明した.腫瘍の再発および脳炎症状の再燃は見られていない.【考察】抗NMDA受容体脳炎に随伴する卵巣奇形腫は,比較的小さく,そのまれな発生頻度からも,術前に未熟奇形腫を推定することは容易ではない.本症例は,術前にMRI,術中に迅速病理検査を行うことで,摘出手術時点で未熟奇形腫と推定できた可能性がある.妊孕性温存が必要な患者の未熟奇形腫に対し,患側の卵巣を摘出すれば術後補助化学療法を省略できる可能性があることから,本疾患を念頭に置く必要があると思われた.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(2) 261-261, 2014


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