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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【若手ポスターセッション6】
循環血液量減少性ショックと急性腎障害を呈した巨大子宮筋腫に伴う子宮捻転の1例
遠見 才希子, 松浦 拓人, 高矢 寿光, 古澤 嘉明, 末光 徳匡, 鈴木 陽介, 高橋 健太, 今井 一章, 寺岡 香里, 田中 亜由子, 大塚 伊佐夫, 清水 幸子
亀田総合病院産婦人科
【緒言】子宮捻転とは子宮が長軸に沿って45度以上回転したものと定義され,妊娠子宮で胎位異常などが誘因となり稀に子宮捻転に至る例が報告されているが,非妊娠子宮が捻転することは極めて稀である.今回我々は,ショックと急性腎障害を呈した巨大子宮筋腫に伴う子宮捻転の一例を経験したので報告する.【症例】64歳,女性,未経産.10年以上前より巨大子宮筋腫を指摘されるも放置していた.自家用車へ移乗時に突然下腹部痛が出現し1時間程度持続するため当院へ救急搬送となった.MRI上,23cm×19cm×21cm大の子宮筋腫と子宮頸部の捻転を疑う所見を認めた.疼痛が軽減したため経過観察としたが,翌日血圧78/58,脈拍110とショックバイタルを認め,Hb6.4g/dlと貧血が進行,さらにはCre2.09mg/dlと急性腎障害および無尿を認めた.画像上,疑われていた子宮捻転の可能性を考慮し,緊急開腹術を施行したところ,子宮は頸部を軸に360度回転しており,子宮全体,両附属器はうっ血著明で緊満,右附属器は偽嚢胞を認めた.単純子宮全摘出術と両側附属器摘出術施行し,摘出子宮重量6.8kgであった.以上より,巨大子宮筋腫により円靭帯は極端に延長し支持組織として機能しておらず,腫瘤自体の重量で子宮が捻転し,静脈還流圧上昇による腫瘤内血液貯留に伴う循環血液量減少性ショックおよび腎前性腎不全に至ったと考えられた.【考察】子宮筋腫を伴う急性腹症では子宮捻転の可能性を考慮すべきであり,ショックなど重篤な病態を生じることがあるため,画像上および臨床経過より疑われる場合は緊急開腹手術も念頭においた管理が必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
263-263, 2014
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