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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【優秀演題】
QT延長症候群合併妊娠において胎児心磁図により先天性QT延長症候群が予測できた1例
堀江 健司1, 永山 志穂1, 薄井 里英1, 大口 昭英1, 神谷 千津子2, 小森 咲子3, 松原 茂樹1, 鈴木 光明1
自治医科大学産婦人科1, 国立循環器病研究センター周産期・婦人科2, 自治医科大学小児科3
【はじめに】先天性QT延長症候群(LQTS)は遺伝性疾患で,心電図上QT時間の延長を示し,致死性不整脈(Torsades de pointes)を発症して突然死をきたし得る.母体がLQTSの場合,胎児もLQTSである可能性があり,それを分娩前に診断しておく必要がある.LQTS合併妊婦の胎児心磁図検査により胎児QT延長症候群が疑われ,出生後に胎児先天性LQTSを確認できた症例を示す.【症例】31歳の初産婦.10歳時に運動中の失神を契機にLQTSと診断され,当院小児科へ通院していた(家族歴なし,遺伝子診断未施行).関西地方へ転居し,自然妊娠した.前医へ紹介され,妊娠29週での胎児心磁図検査で胎児先天性LQTSが疑われた(QTc:0.554).帰省分娩のため妊娠32週に当院を紹介受診した.妊娠35週1日のNSTでvariabilityとaccelerationとの減少を認め管理入院した.入院後もNSTでnon-reassuring patternが続いたため,妊娠36週1日に緊急帝王切開した.出生体重2518g,Apgar score 8/8点(1/5分).NICUへ入院し,呼吸窮迫症候群と診断された.入院時の心電図でQT延長があり(QTc:0.51)LQTSと診断され,β遮断薬の内服が開始された.心奇形や不整脈は認められず,日齢11に退院した.現在まで,母児ともに頻脈発作などの重篤な不整脈は起こっていない.【結語】LQTSを合併した胎児は,胎内で心室頻拍や高度房室ブロックなどを示し,それらに伴い重篤な状態に至る例がある.LQTS合併妊婦の管理においては,胎児がLQTSを合併しているかどうかをあらかじめ把握しておくべきで,それが胎児管理に重要である.胎児心磁図は非侵襲的であり,LQTSの診断に有用である.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
267-267, 2014
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