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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【優秀演題】
当院における子宮頸部円錐切除術症例438例の検討
大井 恵, 寺本 勝寛, 坂本 育子, 大内 秀高, 池上 淳
山梨県立中央病院産婦人科
【緒言】子宮頸部円錐切除術は子宮頸部上皮内腫瘍(cervical intraepithelial neoplasia:以下CIN)や子宮頸癌Ia1期(以下Ia1)の治療法として有用であるが,子宮機能温存を希望する切除断端陽性例の術後管理において苦慮することも多い.今回当院での子宮頸部円錐切除術症例の予後について臨床的検討を行ったので報告する. 【対象】2009年から2012年までの4年間に,当院で初回子宮頸部円錐切除術を施行した438例(腺系病変を除外)に関し検討した. 【結果】切除断端陰性例では,3ヶ月以上当院で経過観察されたCIN 122例全例と,Ia1 5例で再発を認めなかった.切除断端陰性で脈管侵襲を認めたIa1症例1例のみ円錐切除術後に腹式単純子宮全摘術(以下ATH)を施行した.切除断端陽性例の割合はCIN 419例中81例(19.3%),Ia1 14例中8例(57.1%)であり,切除断端陽性だったCIN 81例中4例(4.9%)に再発を認めた.Ia1 8例においては,5例でATH,1例で再度円錐切除術を施行し,2例が経過観察を行った.経過観察中1例でCIN再発のためATHを施行し,1例は3年間再発を認めていない. 【考察】今回の検討でCIN,Ia1いずれも切除断端陰性では円錐切除術のみで良好な経過であった.また切除断端陽性であっても比較的良好な予後であったことから,子宮機能温存を希望する患者への追加治療の適応については慎重な判断が必要と思われた.適切な経過観察を行うことで子宮機能の温存といった患者のニーズに応えることが可能となると思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
269-269, 2014
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