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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))

【優秀演題】
リンパ浮腫に合併する蜂窩織炎対策〜リンパ管静脈吻合術(LVA)で蜂窩織炎発生率は1/10に低減する〜


三原 誠1, 原 尚子2, 村井 則之1
済生会川口総合病院血管外科1, 東京大学医学部形成外科・美容外科2


【目的】婦人科癌術後の合併症として下肢リンパ浮腫が生じることがあり,長期化するに従い蜂窩織炎が頻発するようになることがある.リンパ浮腫を基礎とした蜂窩織炎は急激に発症し,患肢の腫脹発赤,38〜40度台の発熱をきたし,場敗血症性ショック状態に陥る場合もある.蜂窩織炎が起こるとリンパ管の損傷が進みリンパ浮腫の悪化をきたすという,負の連鎖が生じる.近年リンパ浮腫の外科治療としてリンパ管静脈吻合術(LVA)が普及しつつあるが,今回われわれはLVAの蜂窩織炎予防効果について検討した.尚,術前にインフォームドコンセントを実施した.【方法】2005年9月から2012年4月までに筆頭演者が初回LVAを行った患者124人について検討を行った.除外基準は,術後フォロー1年未満,過去にリンパ浮腫の手術を行った既往,術後の新たな圧迫療法追加とした.蜂窩織炎の診断基準は,患肢の腫脹発赤および38.5度以上の発熱とし,LVA前後の1年で蜂窩織炎の回数を比較した.t検定を行い,p=0.01を有意水準とした.【成績】124人中,96人が調査対象となった.男性5人,女性91人で,平均年齢は57.8歳(31〜90歳)であった.下肢リンパ浮腫83人,上肢リンパ浮腫13人であった.LVA前1年間の平均蜂窩織炎回数は1.6回(0〜12回)であったが,LVA後は0.18回(0〜3回)に減少し,t検定により有意差を認めた(p=1.7×10-5).【結論】抗生剤投与や理学療法を行っても蜂窩織炎発生が抑制できない症例に対し,LVAによる予防が有用であることが示された.LVA自体は局所麻酔下に実施できるため,婦人科癌術後に蜂窩織炎を頻発する症例に対し第一選択となり得る治療法と考えられる.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(2) 269-269, 2014


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