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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【優秀演題】
血液透析中の婦人科癌患者に対する化学療法:当院における治療経験
塩澤 正之1, 長井 智則2, 関 博之1, 馬場 一憲1, 高井 泰2, 赤堀 太一2, 石田 洋昭1, 花岡 立也2, 魚谷 隆弘1, 佐藤 翔1
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母胎胎児部門1, 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科2
【緒言】腎不全に対して透析を導入している担がん患者に対する化学療法は,各がん腫における抗癌剤の代謝特性や臨床試験,症例報告の投与量を参考にレジメンを決定しているのが現状である.今回,透析中の婦人科癌症例に対して化学療法を施行した2症例を経験したので報告する.【症例1】52歳 2G2P,糖尿病性腎症に対して維持透析中.2011年春に不正出血を主訴に初診.外陰癌(扁平上皮癌,stageIVB)および子宮体癌(類内膜腺癌,stageIA)の診断に対し,同時化学放射線療法(CCRT)を施行した.併用薬剤はCBDCAとし,全骨盤照射+外陰照射を施行した.治療期間中も週3回の維持透析を継続し,CBDCAを各週投与で全6コース投与した.治療期間中は重篤な有害事象を認めず寛解を得た.【症例2】50歳 3G0P,IgA腎症に対して維持透析中.2005年夏,前医で卵巣癌(漿液腺癌,stage Ic)に対して初回治療.2007年春以降,通院を自己中止していたが,2009年冬(初回治療終了後50ヶ月)に当院初診され,精査にて骨盤内に再発を認めた為,化学療法の方針となった.Paclitaxel+CBDCA療法を3週間周期で計4コース施行し,治療期間中は重篤な有害事象を認めずclinical CRを得たため治療終了となった.2症例とも各化学療法投与1時間後に血液透析を行った.【考察】いずれの症例も安全に化学療法を施行する事が可能であった.透析下の化学療法に関しては文献的に様々な報告があるが,確立した治療法は現時点では存在していない.透析症例の化学療法に関して,今後の更なる経験の集積により治療法を標準化することが必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
270-270, 2014
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