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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
妊娠末期にネフローゼ症候群を発症した1例
安田 元己, 朝田 嘉一, 和田 麻美子, 渡邊 直子
山梨赤十字病院産婦人科
【緒言】妊娠中に蛋白尿が出現した際には,妊娠高血圧腎症とネフローゼ症候群などの腎疾患との鑑別が必要となってくる.今回,われわれは血圧が正常であるにもかかわらず,高度の蛋白尿を認め,分娩後の腎生検により微小変化型ネフローゼ症候群と診断された一例を経験したので報告する.【症例】37歳,0経妊0経産,特記すべき既往なし.妊娠32週までは尿蛋白は陰性であったが,妊娠34週6日の妊婦検診で尿蛋白2+であり,尿蛋白定量は73mg/dlであった.35週1日,尿蛋白定量140mg/dlと増悪傾向を認めたため,精査加療目的に入院となった.1日尿中蛋白量が約7gと高度の蛋白尿であったが,高血圧を呈さないことから初発のネフローゼ症候群と考えられた.腎臓内科にコンサルトし,早期に妊娠終了し,精査の上で必要であれば治療を開始する方針とした.36週0日,分娩誘発をおこない,男児,2530g(Ap 9/10)を経腟分娩した.分娩後も蛋白尿が持続していることから,腎生検をおこない微小変化型ネフローゼ症候群の診断となり,プレドニゾロンの内服により寛解となった.【結語】妊娠中にネフローゼ症候群が発症することは稀であるが,血液透析を必要とする症例も報告されており,高度の蛋白尿を認める場合には,ネフローゼ症候群の可能性もふまえた妊娠管理・精査が必要となる.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
272-272, 2014
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