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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))

【一般演題口演】
白血球減少,咽頭痛,発熱からSLEと診断された妊娠初期の1例


羽生 裕二1, 木村 博昭1, 秋山 文秀1, 亀井 未央1, 平敷 好一郎1, 神山 正明1, 寺田 和彦2, 高田 俊彦2
国保君津中央病院産婦人科1, 国保君津中央病院総合診療科2


 全身性エリテマトーデス(以下SLE)は免疫複合体の沈着によって引き起こされる補体による組織障害(III型アレルギー)による自己免疫疾患である.患者数は日本に約6万人で,約20%は妊娠を契機に発症するとも言われるが,SLEを産婦人科医が診断することは稀である.今回,白血球減少と発熱からSLEと診断した症例を経験したので報告する.症例は26歳0G0P,健康診断などで血液・尿検査異常は指摘されていない.当院初診の5ヶ月前にハワイに新婚旅行に行っている.妊娠5週前医初診,妊娠6週より38度台の発熱,咽頭痛,倦怠感を認め,妊娠7週より性器出血,白血球低値(1800/μl)を認め,妊娠8週0日当科紹介初診となった.WBC 1400/μl,Hb 9.7 g/dl,Plt 6.8×103/μと汎血球減少を認め,更に尿蛋白強陽性,肝逸脱酵素上昇(AST 841 IU/l,ALT 615 IU/l,LDH 828 IU/l),頬部に紅斑も認めた.SLEもしくはウイルス性疾患を念頭に検査を進めると,血清補体価低値,抗核抗体陽性,抗ds-DNA抗体陽性,心嚢水貯留も認め,ACR基準11項目中5項目(4項目以上ならSLE)を満たしたためSLEと診断された.肝逸脱酵素上昇はSLEに合併した血球貪食症候群と診断された.患者は他院での治療を希望されため他院紹介となった.母体治療に専念するため人工妊娠中絶を行い,SLEの治療が行われている.SLEは妊娠年齢層に多く,様々な合併症も併発することから,原因不明の発熱,汎血球減少,蛋白尿などの患者に遭遇した場合には,SLEを始めとする膠原病も鑑別に挙げる必要があると考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(2) 272-272, 2014


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