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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
同一症例で異なる妊娠経過をたどった腸管ベーチェット合併妊娠の1例
池田 枝里1, 竹内 穂高1, 柿坂 宣孝1, 笹澤 智聡2, 山田 香織1, 高木 緑1, 戸田 文香1, 高木 靖1
諏訪赤十字病院産婦人科1, 亀田総合病院産婦人科2
【緒言】妊娠はベーチェット病の増悪要因ではないとする報告が多いが,確立した見解は得られていない.今回,同一症例の2回の妊娠において異なる経過をたどった腸管ベーチェット病合併妊娠を経験した.【症例】29歳.1経妊1経産.12歳時に腸管ベーチェット病と診断され,24歳までメサラジン,ファモチジン,プレドニゾロンの内服を行っていた.25歳時に下部消化管出血を認め治療再開となり,その後は軽度の皮疹の出現のみであった.治療継続中の27歳時に第1子を妊娠し,妊娠初期より外陰部潰瘍が出現し難治性であった.眼症状や消化器症状などその他の症状は認めず,妊娠経過中の血液検査でCRPの微増を認めたが,ベーチェットの病勢とは合致しなかった.会陰部の損傷や疼痛,感染のリスクを考慮し,妊娠39週に選択的帝王切開を施行し,2590gの男児を娩出した.外陰部潰瘍は分娩後2週間で改善し,その後治療を中止した.しかし,今回の妊娠経過中は外陰部潰瘍の再発はみられず,妊娠38週に既往帝王切開の適応にて選択的帝王切開を施行し,2570gの男児を娩出した.母児ともに経過良好で退院となり,産褥4カ月の現在でも悪化はみられていない.【考察】腸管ベーチェット病においても同一症例で妊娠によって異なる経過をとる場合があり,必ずしも妊娠が増悪因子とは言えない.また,本症例の第1子のように外陰部潰瘍のために帝王切開となることがあるが,ステロイド治療などにより経膣分娩可能となった症例も散見され,分娩様式の選択には工夫の余地がある.【結語】周産期におけるベーチェット病合併妊娠の管理について,今後さらなる症例の蓄積と検討が必要と思われる.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
273-273, 2014
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