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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
妊婦の精神疾患に漢方薬が有効であった2症例
岡村 麻子1, 遠藤 真沙子1, 瀧川 恵子1, 小笠原 加奈子1, 西村 真純1, 松本 佳余子1, 大野 智子1, 塩津 英美1, 加藤 士郎2
東京北社会保険病院産婦人科1, 野木病院内科2
<はじめに>ストレス社会において不安神経症を合併する妊婦は少なくない.また白衣高血圧の妊婦も散見され分娩時に過緊張のため意識消失発作を起こす例もある.今回の例のように,西洋薬の内服を拒否する妊婦は多い.今回漢方薬のみの内服で,順調に分娩に到った2症例を経験したので報告する.<症例1>41歳,1回経産婦.妊娠22週3日妊婦健診来院時,「前回の帝王切開が痛くて,手術が怖い.お腹が大きくなると怖く,子供を消滅させたい.」と涙流.不安神経症と診断し,心療内科併診で,不安神経症に用いる半夏厚朴湯エキス顆粒7.5g/日,分3を処方した.心療内科からの向精神薬の内服を拒否,漢方内服のみとした.2週間後気分が安定し,妊娠37週予定帝王切開分娩にて分娩.母児とも順調.産後,症状軽快し内服中止とした.<症例2>26歳,初産婦.妊娠24週0日.以前より緊張の強いタイプであった.初診時より病院で測定した血圧が収縮期130―140mmHg,拡張期85−95mmHgと高く白衣高血圧症としてフォローした.24週0日,頭痛,眼窩閃光,右手の痺れを認め救急車にて来院となった.妊娠高血圧症候群から来る子癇,脳出血を否定.ストレス,交感神経緊張より生じる一過性高血圧,不安によるパニックと診断.高血圧やヒステリーに用いる柴胡加竜骨牡蠣湯エキス顆粒7.5g/日,分3を処方.妊娠29週病院での血圧が安定し内服中止とした.40週正常経膣分娩にて出産.母児ともに経過順調であった.<考察>妊娠中の女性に漢方薬が有益であることを経験した.産科領域でも積極的に中西結合医療を導入し,患者の利益を追求したいと考える.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
274-274, 2014
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