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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))

【一般演題口演】
常位胎盤早期剥離症例における発症から分娩までの時間と母児の予後に関する検討


大木 慎也, 藤澤 夏行, 永松 健, 中山 敏男, 河合 有希, 小松 篤史, 山下 隆博, 大須賀 穣, 藤井 知行
東京大学医学部附属病院産科婦人科学教室産婦人科


【目的】常位胎盤早期剥離(以下,早剥)症例において症状の出現から娩出までに要した時間母児の予後との関連について解明する.【方法】2004年以降の10年間に当院で診断,分娩管理を行った早剥56症例を対象とした.症状出現から分娩までの時間,母体の予後(総出血量,輸血の有無,DICスコアー),児の予後(生存率,Apgarスコアー,臍帯動脈血UApH,NICU管理の有無)について,倫理委員会承認のもと,後方視的にデータを収集し,統計学的解析を行った.【結果】発症から分娩までの時間は221±218分であった.母体の予後に関しては,明らかな相関関係は認められなかったが,発症から5時間以上経過した症例では総出血量,DICスコアーが上昇し,輸血が必要となる症例が増加していた.児の予後に関しては,IUFD 7例(13%),新生児死亡3例(5%),NICU管理34例(61%)であった.Apgarスコアー(5分)は7点以下が21例(39%),UApH<7.1は10症例(21%)であった.発症から分娩までの時間が短いほどApgarスコアーは高い傾向にあったが,一方で分娩までの時間が短く(100分以下)てもUApH<7.1の症例が6例(16%)存在した.生存群(n=34)と死亡群(n=9)では分娩までの時間(188±204分,346±236分 p=0.031)で有意差が認められ,ROC解析の結果,60分以上経過すると死亡率が高いことが確認された.【結論】発症から分娩までの時間が長くなると母児ともに予後が悪化することが示された.特に児の予後においては,時間的な影響が発症後早期に出現することが明らかとなった.妊婦に対する早剥の初期症状に関する教育,病院側の迅速な診断・分娩までの時間短縮の努力が予後改善のための鍵となると考えらえた.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(2) 276-276, 2014


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