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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
胎児機能不全(NRFS:non-reassuring fetal status)における胎盤絨毛病変
有澤 正義
都立大塚病院検査科
【背景】胎児機能不全(NRFS)という診断名は過去には胎児仮死,胎児ジストレス,胎盤機能不全と呼ばれていた.以前にこのようなNRFSの胎盤病理報告として,具体的に多数の虚血性病変や炎症が認められることを報告してきた.今回私は,臨床診断である遅発性徐脈,変動性一過性徐脈やドップラーでの臍帯動脈の途絶や逆流と胎盤病理について検討した.単に虚血性病変だけでなく,虚血性病変の程度や絨毛血管病変の有無を考慮して検討した.典型的なNRFS例として緊急帝王切開(緊急帝切)となった胎盤とコントロールとして予定帝王切開(予定帝切)の中で既往歴にも今回の妊娠でも母体合併症がなく,前回の分娩が骨盤位による希望帝王切開,児に異常もなく回旋異状などによるものなどを限定し抽出し比較した.【材料】2年間約2000分娩で約1000の胎盤を再度顕微鏡による病理検査した.【結果】2000例の中で帝王切開となったのは505例あった.505例の帝王切開で200例の予定帝切,305例の緊急帝切があった.予定帝切の中に,前回帝王切開あるいはCPD(児頭骨盤不均衡)など以外にまったくリスクが見当たらない胎盤病理検査が18例あった.これらをコントロールとして用いた.緊急帝切の中で原因がNRFSによる胎盤病理検査が62例あった.胎盤の病理診断はコントロール群のほとんどに異常を認めず,NRFS群には多数の虚血性病変や炎症が認められた.NRFS群の中で絨毛血管の閉鎖や再疎通あるいは絨毛血管の筋層の肥厚を認めた例にドップラー検査で臍帯動脈の途絶や逆流を認めたものがあった.【考察】臨床的には正常と異常,病理的にも正常胎盤と異常胎盤となる事実は今後臨床に役立つと考えるので報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
277-277, 2014
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