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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
初期妊娠リスクスコアによる分娩時輸血リスク評価
野口 翔平, 村越 毅, 長谷川 瑛洋, 和形 麻衣子, 加藤 晴子, 野坂 舞子, 小笠原 仁子, 伊藤 崇博, 神農 隆, 松下 充, 中山 理, 鳥居 裕一
聖隷浜松病院総合周産期母子医療センター産科
【目的】初期妊娠リスクスコアは,2004年に「産科領域における安全対策に関する研究」(中林ら)で提案され,母児の周産期予後と密接に関わると報告されたものである.しかしその後の再評価の報告は少ない.今回,初期妊娠リスクスコアで単胎分娩時の輸血リスクが評価可能であるかを検討した.【対象と方法】2010年7月から2014年1月の間に,当院で初期妊娠リスクスコアを評価し,22週以降に分娩となった単胎妊娠3448名を対象とした.リスク評価は20週までの初診時に行った.対象を低リスク群(0-1点)1131名,中等度リスク群(2-3点)1105名,高リスク群(4点以上)1212名に層別化し,各群での同種血輸血を行った症例数を調べた.輸血は,産後大出血(1500ml以上)や産科的DICなどにより,担当医師が必要と判断した症例に行った.【結果と考察】母体背景は,年齢(中央値(範囲)以下同様)32歳(15-46),分娩週数39.5週(22.0-42.5),初産56%,帝王切開29%,機械分娩7.9%であった.各群における分娩総出血量は,低リスク群340g(15-2509),中等度リスク群368g(10-7040),高リスク群455g(15-6055)であった.輸血率は低リスク群で0.3%(3名),中等度リスク群で0.8%(9名),高リスク群で1.7%(20名)であった.高リスク群は低リスク群と比して輸血率が高く(OR=6.3,95%CI1.99-19.96,p<0.01),また中等度以上のリスク群は低リスク群と比して輸血率が高かった(OR=4.8,95%CI1.54-14.75,p<0.05).【結論】初期妊娠リスクスコアの低リスク群では,分娩時輸血率は高リスク群および中等度リスク群以上と比較して有意に低かった.初期妊娠リスクスコアにより,単胎分娩時の輸血リスクが評価可能であることが示唆された.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
279-279, 2014
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