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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))

【一般演題口演】
常位胎盤早期剥離と癒着胎盤を呈した凍結融解胚移植後妊娠の1例


増田 あゆみ, 峰 俊輔, 大木 麻喜, 小笠原 英理子, 奥田 靖彦, 端 晶彦, 平田 修司, 笠井 剛
山梨大学医学部附属病院産婦人科


 癒着胎盤は発生頻度が約0.03%と希有な疾患ではあるが,分娩時大量出血の原因となり母体死亡に占める割合は約3%にのぼる.近年,凍結融解胚移植後妊娠と癒着胎盤との関連性が示唆されている.今回,我々は常位胎盤早期剥離にて緊急帝王切開を施行した際に癒着胎盤を認め止血に難渋した凍結融解胚移植後妊娠の症例を経験したので報告する.患者は41歳,3回経妊,0回経産,2回自然流産,1回異所性妊娠.2回の自然流産時に2回の子宮内容除去術を施行され,異所性妊娠に対して腹腔鏡下卵管切除術を施行された既往がある.今回,凍結融解胚移植にて妊娠成立し,妊娠19週で頸管無力症の診断で子宮頸管縫縮術を施行した.妊娠40週3日で前期破水のため入院後,分娩進行が緩徐なためオキシトシンで促進したが,常位胎盤早期剥離および胎児機能不全の診断で緊急帝王切開を施行した.帝王切開の際,胎盤は広範囲に癒着しており剥離面から多量の出血を認めたためガーゼを子宮内に充填した.胎盤遺残の可能性も考慮し,さらに止血を確実なものにするために子宮動脈塞栓術を施行した.総出血量は約5000mlであった.術後4日目のMRIでわずかな胎盤遺残を認めたが,現在血流は消失しており外来管理中である.癒着胎盤の発生機序はいまだ完全には解明されておらず,その発症の予知や予防は困難である.本症例のように,凍結融解胚移植後ならびに子宮内容除去術などの癒着胎盤のリスク因子を併せ持つような症例では,癒着胎盤とそれによる産後大出血を念頭においた厳重な分娩管理が必要と考えられた.また,今回のような早剥を合併した症例では,とくに止血に難渋する可能性があることを銘記する必要があると思われた.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(2) 281-281, 2014


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