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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
子宮内容除去術後に子宮仮性動脈瘤を形成した1例
福田 直子, 神田 理恵子, 鈴木 絢子, 松田 美保, 幾石 尚美, 川村 良, 塚原 裕, 橋村 尚彦
総合病院厚生中央病院産婦人科
【緒言】子宮仮性動脈瘤は,子宮動脈領域の動脈壁が一部脆弱化し瘤を形成したもので,子宮手術後や分娩後などの多量出血の原因となりうる比較的稀な疾患である.今回,子宮内容除去術後に不正出血を繰り返す臨床経過や緒検査より子宮仮性動脈瘤を疑い,子宮動脈塞栓術(UAE)が奏功した症例を経験した.【症例】32歳1経妊1経産.無月経にて当院を受診し,経腟超音波検査上子宮内に5mmの胎嚢を認めた.2週間後に子宮内に胎芽・心拍を2つ確認し,その後の超音波検査で一絨毛膜一羊膜性双胎と診断した.その後転院先で一絨毛膜二羊膜性双胎,一児臍帯卵膜付着,胎児発育不全と診断された.不正出血を認めるようになったため,妊娠13週で子宮内容除去術を施行された.約1か月後に不正出血で当院を受診したが,診察上子宮内に明らかな異常所見は認められなかった.約3週間後多量の性器出血にて再度受診.経腟超音波検査上子宮底部に約2.5cm大の不均一なエコー像を認めた.骨盤MRI上血腫などが疑われ,絨毛遺残の可能性を考え翌日子宮内膜掻爬術を施行した.子宮内容はほとんどみられず,その後も持続する不正出血に対し中用量ピルを処方したが,7日目に多量の出血を認め入院となった.内診上子宮底部右側に軽度の圧痛あり,その部位に一致してカラードップラーにて約2cmの血流豊富な腫瘤を認めた.臨床経過と緒検査より子宮仮性動脈瘤を疑いUAEを施行したところ出血量は徐々に減少し,子宮内の血流豊富な腫瘤も消失した.UAE施行後1カ月で月経が再開した.【結論】子宮内容除去術後の持続する不正出血の原因として,比較的稀ではあるが本疾患を念頭に置く必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
282-282, 2014
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