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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
Essureによる卵管近位側閉塞療法後,融解胚移植により妊娠に至った卵管留水腫例
岩本 豪紀, 大田 昌治, 大川 智実, 小林 織恵, 山崎 龍王, 田村 和也, 小林 弥生子, 梅澤 聡
武蔵野赤十字病院産婦人科
卵管留水腫合併例における体外受精・胚移植の成功率は極めて不良であることが知られている.その理由として,貯留液の子宮内流入による物理的着床障害,胚毒性,子宮内膜毒性などが示唆されている.この体外受精・胚移植での成功率の低下は,病側卵管摘出により改善することも知られていて,現在,Cochrane Review(2010)および,本邦婦人科内視鏡手術ガイドライン(2013)では,胚移植に先行しての腹腔鏡下病側卵管切除術または卵管閉塞術が推奨されている.しかしながら骨盤内強癒着が予想される症例においては,手術操作自体が困難である可能性,および手術操作そのものによる更なる癒着増悪の可能性があり,手術そのものがためらわれる症例も存在する.今回我々は既往に4回の開腹手術歴があり,骨盤内強癒着が予想され,手術療法は困難であると判断された体外受精反復不成功卵管留水腫例において,Essureによる子宮鏡下卵管閉塞療法後,凍結胚融解胚移植にて妊娠に至った卵管留水腫例を経験したのでその臨床経過を報告する. Essureはそもそも子宮鏡下に卵管閉塞を起こし永久避妊状態とする目的で開発された医療器具である.その機序より,世界的には卵管留水腫合併の体外受精・胚移植前の卵管閉塞目的に広く転用され,良好な成績が報告されているが,現在のところ本邦では未認可である.本症例の施術も韓国で行われた.本法は子宮鏡下操作のみで卵管近位側閉塞が行え,そもそも骨盤内癒着が存在する卵管留水腫例には利点が大きいと考えられた.今後本邦においても臨床応用できるようになることを期待したい.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
283-283, 2014
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