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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
生児を得た胎児共存奇胎の1例
片倉 慧美1, 野上 侑哉1, 水口 雄貴2, 北岡 芳久1, 吉田 敬三1, 村山 真治1, 益子 尚子1, 北岡 江里1, 白石 悟1
那須赤十字病院産婦人科1, 慶應義塾大学病院産婦人科2
【緒言】胎児共存奇胎は正常妊娠と全胞状奇胎との双胎とされ,22,000〜100,000妊娠に1例と非常に稀な病態である.今回,妊娠37週で生児を得た胎児共存奇胎の症例を経験したので報告する.【症例】21歳,0経妊0経産.自然妊娠成立し近医受診,初期より胎盤に嚢胞状変化を認めた.妊娠分娩管理および精査目的で妊娠11週に当院紹介受診し,経腟超音波検査で胎盤の肥厚と蜂巣状変化を認め,血中hCG 22,500mIU/ml以上で異常高値を示した.妊娠17週の羊水検査で胎児が正常核型であったため,胎児共存奇胎と診断した.妊娠継続に伴うリスクを繰り返し説明したが,本人・家族の希望が強く妊娠継続となった.胸部単純X線検査,血中hCG測定を行いながら,外来で経過観察とした.頸管長短縮のため,妊娠32週から妊娠36週まで入院管理とした.妊娠37週に陣痛誘発を行ったが,遷延一過性徐脈を認めたため,胎児機能不全の診断で緊急帝王切開を行った.児は2288gの女児,アプガースコア8/9点(1/5分値),臍帯動脈血pH 7.343であり,経過良好であった.胎盤は奇胎とともにスムーズに娩出された.術後経過は順調であり,胸腹部造影CT,頭部MRIでも明らかな転移はなく,術後7日目に退院となった.以後外来で経過観察中であるが,現在のところ再発はない.【結語】胎児共存奇胎は胎児染色体が正常核型であれば妊娠継続も可能だが,続発性絨毛性疾患の発症リスクは35〜50%,PIHや出血などの妊娠中の合併症が多く,生児の獲得率は30%前後,と報告されている.胎児共存奇胎では妊娠中から分娩後にわたり,より慎重な管理が必要と考えられる.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
283-283, 2014
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