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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
周産期における病理検査でのサイトメガロウイルス
有澤 正義
都立大塚病院検査科
【目的】本邦では若年層のサイトメガロウイルス抗体の低下が報告されている.臨床的にはサイトメガロウイルスの経胎盤的感染が問題になっている.日常の胎盤検査でも,サイトメガロウイルスの封入体を見ることがある.胎盤病理の特徴は封入体以外に形質細胞の出現や絨毛の破壊像である.時に絨毛血管の増殖を認めることもある.今回私は,サイトメガロウイルスの胎盤での特徴,絨毛血管増殖の原因,その他の病理検査について解説する.【方法】見つけることが困難なサイトメガロウイルスの封入体を容易に見つけることができる免疫染色がある.血管の増殖を理由を裏付けるVEGFの免疫染色がある.【結果】通常の顕微鏡検査で難しいサイトメガロウイルス封入体もサイトメガロウイルスの免疫染色で発見が容易になる.VEGFの免疫染色はサイトメガロウイルス封入体が陽性となる.【考察】サイトメガロウイルスの免疫染色は封入体の発見に有用である.VEGFの免疫染色は封入体で陽性となった事実は絨毛の病理像で血管が増殖する例があることの説明を可能にする.さらに,今回は2例のサイトメガロウイルス感染による死産における腹水や肝脾腫の病理像,胎盤の肉眼像,浸軟児におけるサイトメガロウイルス感染について病理像をお見せする.本邦での周産期感染症でサイトメガロウイルスの予防は重要であるので,今後抗体検査やワクチンの接種などを考慮する必要があると考える.また,自己免疫疾患などでステロイドを使用している妊婦はサイトメガロウイルス感染に注意が必要であると考える.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
285-285, 2014
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