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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
出生後に診断された大動脈縮窄症の1例
矢田 昌太郎, 高橋 奈々子, 新井 友香梨, 村田 佳菜子, 佐藤 杏奈, 松田 祐子, 坂本 昇子, 田中 里美, 阿部 弥生, 永田 理恵, 太田 剛志, 荻島 大貴
順天堂大学医学部附属練馬病院産婦人科
【緒言】大動脈縮窄症は,0.25-0.4%の発生頻度で,全心奇形の8%を占め,90%が他の心奇形を合併し,35%が染色体異常との関連を認める.大動脈狭窄症は,出生後に生存率の低下や,重症度の増加を認めるが,出生前の診断に苦慮する場合もある.今回われわれは出生後に診断された大動脈縮窄症の1例を経験したので報告する.【症例】34歳,2経妊1経産(帝王切開1回),妊娠11週に当院へ紹介となった.出生前診断は行わず,妊娠20週,30週の超音波スクリーニング検査で,3 vessel view,4 chamber view,大動脈弓は描出でき,その他にも明らかな奇形は認めなかった.胎児の推定体重も週数相当で発育していた.妊娠38週4日に既往帝王切開後妊娠の適応で帝王切開を施行した.児は3296gの男児でApgar scoreは8/8点,臍帯動脈pH7.372であった.出生後より呼吸障害,酸素化不良のため,NICU管理となった.出生後の超音波上,動脈管の開存,卵円孔開存,大動脈の狭窄を認め,大動脈縮窄症が疑われた.プロスタンジンE1による加療を開始し,日齢14に施行したCT検査で右鎖骨下動脈分岐後に大動脈弓の狭小化部位を認め,管前型大動脈縮窄症の診断となった.顔貌から染色体異常を疑い,施行した染色体検査で21トリソミーの診断となった.児は日齢26に周産期母子医療センターへ転院となり,日齢28に手術を施行され,現在外来経過観察されている.【結語】大動脈縮窄症は出生前に超音波で確実に診断することが困難な疾患であり,出生前の診断に苦慮する例もある.出生後の酸素化不良を伴う呼吸障害を認めた場合,大動脈縮窄症を含めた心疾患の可能性も考え,早期の対応が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
285-285, 2014
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