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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))

【一般演題口演】
新生児の喉頭位置とマスク蘇生法についての一考察


荘司 延三
東京都江戸川区介護老人保健施設こでまり


【目的】新生児の特殊な喉頭位置がマスク蘇生法に及ぼす影響を考察する.【考察】医学は解剖学が礎であるだけに,機能の解釈をその形態に求められることがある.新生児の喉頭は頸椎C3-4に位置し,成人より約一つの椎体も高くなっている.このため,喉頭が,中咽頭部に直立していて,舌底部より突出した喉頭蓋は,上方の軟口蓋の裏側に接触するか重なることによって,気管へ連続して一本の鼻airwayを形成する.これが,新生児を特有な強制的鼻呼吸者にした所以である,といわれている.そして,この構造は,すべての哺乳類にもみられる.なお,高位の喉頭は,約5ヶ月目頸椎C5に下降して,口呼吸を徐々にし始める.
マスク蘇生法の主役とされる口腔換気は,バッグなどの給気圧によって,既述した軟口蓋と喉頭蓋の間にある狭き間隙を広げて,初めて機能すると考える.しかし,その高い圧力に達する前には,水が低きに流れるように,エアーも自らの物性に従い,必ず抵抗の少ない梨状陥凹―胃や鼻孔―気管へなだれこむ,と考える.他方,鼻換気は,授かった鼻airwayを拠り所とするので,自由で安定な換気が約束されていると考えられる.一方,加圧によって間隙拡大を図る口腔換気のairwayは,安定的なものと認められるかどうか,疑問が残る.【結語】新生児の高位喉頭が,マスク蘇生法に与える影響に若干の文献的考察を加えた結果,鼻換気は,蘇生に重要な機能を果たしていることが示唆されたので報告する.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(2) 287-287, 2014


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