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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))

【一般演題口演】
卵管より発生した成熟嚢胞性奇形腫に対して腹腔鏡下手術を施行した1例


楢山 知紗, 西島 義博, 平野 結希, 佐柄 祐介, 林 優, 菅野 秀俊, 篠田 真理, 鈴木 隆弘, 石本 人士, 和泉 俊一郎, 三上 幹男
東海大学医学部専門診療学系産婦人科


【緒言】成熟嚢胞性奇形腫は(mature cystic teratoma)は類皮嚢腫(dermoid cyst)ともよばれ卵巣に好発する.卵管に認められることは少なく,我が国ではほとんど報告がない.今回卵管に発生した成熟嚢胞性奇形腫に対して腹腔鏡下に治療した1例を経験したので報告する.【症例】25歳 未経妊 近医の検診にて約10cm大の右卵巣嚢腫指摘され当院紹介受診となった.経膣超音波上,右卵巣と思われる部位に約10cm大のdermoid cystを疑う腫瘤を認めた.MRI上は両側の正常卵巣は確認できた.下腹部正中に約10cm大のdermoid cystを疑う多房性腫瘤を認めた.腫瘍マーカーはCA125:33.3U/ml CA19-9:120.1U/ml SCC:1.4ng/mlとCA19-9のみ高値であった.術前診断としては傍卵巣嚢腫,inclusion cyst,腸管由来の腫瘍などが疑われた.治療方針は10cmと大きい腫瘤,若年ということもあり腹腔鏡下手術を選択した.ポートは4孔(diamond style)で施行した.両側の正常卵巣は確認でき,腫瘤は左の卵管采より発生していた.モノポーラにて腫瘤を切除し回収袋に収納し体外へ排出した.術後経過は良好であり3日目に退院となった.病理組織検査は成熟嚢胞性奇形腫の診断であった.【考察】卵管奇形腫は,胚細胞が卵黄嚢から生殖原基に移動中に,卵巣に達することができなかった胚細胞から発生すると考えられている.卵管奇形腫の本邦報告例は本症例を含め3例とまれである.いずれの症例においても術前診断はできていない.画像診断にて正常卵巣の確認できる骨盤内腫瘤を認めた場合には卵管発生成熟嚢胞性奇形腫も鑑別診断として考える必要がある.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(2) 290-290, 2014


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