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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
術後卵巣癌および境界悪性卵巣腫瘍と判明した腹腔鏡下手術症例4例の検討
井浦 文香1, 高橋 寿子1, 奥野 さつき1, 浅井 哲1, 永井 崇1, 田島 博人2, 浅田 弘法1
新百合ケ丘総合病院産婦人科1, 新百合ケ丘総合病院病理2
【緒言】婦人科腹腔鏡下手術の卵巣腫瘍に対しての取り扱いは,本邦では術中破綻のリスク等から良性疾患のみが対象となっている.【対象】当院で2013年1月-12月に,腹腔鏡下に卵巣嚢腫核出術または付属器切除術を施行した卵巣腫瘍247例のうち,卵巣癌および境界悪性腫瘍と術後診断された症例を4例経験した.【症例】症例1:34歳未経妊,粘液性腺癌Stage Ia(9cm).症例2:24歳未経妊,粘液性境界悪性腫瘍Stage Icb(22cm).症例3:43歳未経妊,漿液性腺癌Stage Ia(10cm).症例4:55歳1経産,粘液性境界悪性腫瘍Stage Ia(34cm).主訴は腹部膨満感が2例,月経困難症が1例,急性腹症で来院し卵巣嚢腫茎捻転の診断で緊急手術となったものが1例であった.術前診断で悪性の可能性も示唆されたものが2例で片側付属器切除術を施行,それ以外の2例で卵巣嚢腫核出術を施行した.内容液を漏出しない工夫として,摘出標本を回収バッグに入れ,単房性嚢胞では臍のトロッカー部位より袋内で内容液を吸引し回収,多房性では経腟的回収とし,袋の中で破砕し吸引し回収した.症例2で術中破綻したが,それ以外の3例では腹水細胞診は陰性であった.病期診断および追加治療を目的に,卵巣機能温存希望のある2例で,腹腔鏡下大網部分切除+片側付属器切除+腹腔内検索を行った.機能温存希望のない1例では腹腔鏡下子宮全摘+対側付属器切除も施行した.【結論】悪性の可能性も示唆される卵巣腫瘍においても,腹腔鏡下卵巣手術は,回収方法に注意することで施行可能と考えられた.病期診断および追加治療においても,十分なIC下に施行する腹腔鏡手術は臨床的な有用性があると考える.予後に関しては今後の検討が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
293-293, 2014
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