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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
筋層浸潤を伴わない子宮体癌IA期G1症例のリンパ節郭清省略は妥当か
平野 卓朗, 山上 亘, 二宮 委美, 岩佐 尚美, 中平 直希, 和田 美智子, 野村 弘行, 片岡 史夫, 阪埜 浩司, 進 伸幸, 青木 大輔
慶應義塾大学医学部産婦人科
【目的】子宮体癌の基本術式は子宮全摘+両側付属器摘出に加え,後腹膜リンパ節(LN)郭清である.筋層浸潤(myometrial invasion,MI)を伴わないIA期G1(MI陰性G1)症例はLN郭清の省略が可能と考えられている.これらの症例のLN郭清省略の妥当性を検証した. 【方法】2003〜2012年に術前にMI陰性G1と推定した子宮体癌62例を対象とした.当院はこれらの症例は原則子宮摘出,両側付属器摘出術を行い,術中肉眼所見または迅速病理診断でMI陰性G1と不一致な場合はLN郭清を追加し,術後病理診断で再発中リスク以上と診断された場合は術後化学療法を行っている.倫理委員会承認のうえ病理所見や予後について解析を行った. 【成績】術前にMI陰性G1と推定され,術後病理診断で不一致を認めた症例は45例(73%)であり,III期3例(5%)を含んでいた.内訳は手術進行期が40例(65%),組織型が15例(24%)で,MI<1/3症例は24例,1/3-1/2症例は11例,>1/2症例は3例であった.MI陰性G1不一致例のうち,LN郭清を術中に28例,術後に2例で追加したが,LN転移陽性例は1例であった.再発中・高リスク群は13例(21%)で,術後化学療法を9例に施行したが,再発は1例(腹膜播種)のみで,LN未郭清群を含めLN再発を認めた症例はなかった. 【結論】術前にMI陰性G1と推定された症例には術中術後に不一致を認める症例が多数含まれるが,不一致症例を適切に除外診断し,治療を行えば,LN転移のリスクは低いと考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
295-295, 2014
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