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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
リンパ節郭清後にリンパ浮腫は「WHY」起こるのか?〜集合リンパ管の組織科学的解析と病態解明〜
三原 誠1, 原 尚子2, 村井 則之1
済生会川口総合病院血管外科1, 東京大学医学部形成外科・美容外科2
[Introduction]リンパ節郭清後,リンパ浮腫発症に至るまで,また,発症早期のリンパ浮腫における集合リンパ管の電子顕微鏡を用いた検証は今までに行われていないが,リンパ浮腫の発症メカニズムの解明,治療の確立,さらには予防法の開発のために,これらの組織科学的検証が有用であると思われる.本研究の目的は,リンパ節郭清後'の患者における集合リンパ管の経時的変化を明らかにすることである.[Methods]婦人科癌術後の下肢リンパ浮腫症例のうち37症例(114標本)において,リンパ管静脈吻合術を行った際に,トリミングを行った集合リンパ管を使用して,集合リンパ管の組織科学的評価(免疫染色検査,電子顕微鏡検査)を行った.尚,組織採取前にインフォームドコンセントを実施した.[Results]光学顕微鏡所見の所見より,集合リンパ管の組織化学的な変化を「normal type」「ectasis type」「contraction type」「sclerosis type」と定義した(NECST;Normal,Ectasis,Contraction,Sclerosis Type).Normal typeではリンパ管内圧の上昇に伴ってリンパ管内皮細胞が平坦化し,Contraction typeでは平滑筋細胞が分泌型へ形質転換し,膠原線維の増加を促進する.さらにsclerosis typeでは繊維成分が大部分を占め,輸送能・濃縮能ともに喪失してしまい,リンパ管内腔は著しく狭小化するか,完全に閉塞する.[Conclusions]リンパ節郭清後の集合リンパ管では,リンパ管内圧の上昇にともない,リンパ浮腫が発症する前から組織学的な変化が現れている.リンパ節郭清後のリンパ系におけるダイナミックな変化を紹介する.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
296-296, 2014
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