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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
診断に苦慮した急性腹症から急性腎不全,DICを呈した巨大子宮腫瘍の1例
仲神 宏子, 岡垣 竜吾, 木村 真智子, 鈴木 元晴, 難波 聡, 三木 明徳, 梶原 健, 亀井 良政, 石原 理
埼玉医科大学産科婦人科婦人科
【緒言】今回我々は急性腹症の精査中に腎不全・DICを発症,緊急手術により救命しえた巨大子宮腫瘍の1例を経験したので報告する.【症例】40歳,3経産.定期的な婦人科受診はなし.月経3日目に悪心嘔吐,下腹部痛を訴え他院救急外来を受診.単純CTで骨盤内に巨大腫瘤を指摘され,当院婦人科へ搬送された.来院時の腟鏡診で出血は少量,子宮口は頭側に偏位し視認困難であった.臍上に達する腹部腫瘤を認め,MRI画像上は子宮筋腫と思われた.子宮内膜は肥厚していた.嘔吐下痢症状が強く,入院のうえ補液を行っていたが,入院後3日目に乏尿,発熱,血圧低下を認め,採血検査で炎症の急激な悪化,凝固異常,アシドーシス,血清Cr,K値の上昇を認めた.原因が子宮腫瘍にあると考え緊急手術を施行した.開腹すると子宮は超成人頭大,両側円靭帯・骨盤漏斗靭帯ごと基靭帯の位置で時計回りに360度捻転し,暗紫色に変色していた.捻転を解除し単純子宮全摘術,両側付属器切除術を施行した.摘出検体は7.5kgであった.術後腎機能は速やかに改善し,凝固系も正常化した.現在は外来でエストロゲン補充療法を行っている.【考察】子宮捻転は子宮が長軸に沿って45度以上回転したものと定義され,人間では稀な疾患である.腹痛,消化器症状をきたすが,その程度は様々なため診断は至難とされている.重症例では子宮・付属器の壊死から尿閉,ショックに至るとの報告がある.本症例の腎不全・DICも捻転による子宮・付属器の壊死が原因と推定される.診断に苦慮したが,開腹手術に踏み切る事により救命できた.【結語】子宮筋腫に急性腹症を伴った場合の鑑別診断として子宮捻転も考慮する必要があると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
299-299, 2014
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