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<< 学会誌へ戻る [緒言]嚢胞性子宮腺筋症は子宮に嚢胞性腫瘤を認める稀な疾患である．今回我々は，術前に卵管留血腫と診断されていた嚢胞性子宮腺筋症の一例を経験したので報告する．[症例]34歳，1経妊，0経産．既往歴，家族歴に特記事項なし．5年前から右下腹部痛を認めており，2年前に近医の経腟超音波検査で右卵巣腫瘍を疑われたため，骨盤造影MRI検査を施行．15×40mmの右卵管留水腫または軽微な留血腫が疑われ，経過観察となっていた．今回，疼痛が増悪し近医を再診，当科紹介受診となった．経腟超音波及び骨盤造影MRI検査で腫瘤は30×70mm大へ増大しており，腹腔鏡手術を施行した．術中所見では腹腔内には明らかな癒着や腹水はなく，子宮右側から広間膜内に発育する7cm大の腫瘤を認めた．両側卵巣は正常大であった．腫瘤に100倍希釈バソプレッシンを局注し，切開を加えたところ，チョコレート様の液体が流出した．腫瘤は漿膜下に発育していたため腫瘤を完全に摘出し，創部を縫合，止血した．その他，ダグラス窩腹膜にblue berry spotを認めたためこれを焼灼し，手術を終了した．摘出検体の病理所見では，子宮の腫瘤は嚢胞性子宮腺筋症であった．[結語]今回，術前に卵管留血腫と診断されていた嚢胞性子宮腺筋症の一例を経験した．卵管留血腫であれば手術適応は限られてくるが，強い症状を伴う場合には嚢胞性子宮腺筋症の可能性を考慮し，腹腔鏡検査を行うことも有用であると考えられた． 関東連合産科婦人科学会誌, 51(2) 301-301, 2014 |
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