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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
上皮性卵巣癌I期症例に対する系統的リンパ節郭清と術後化学療法の有用性の検討
野村 秀高, 宇佐美 知香, 谷口 智子, 尾松 公平, 加藤 一喜, 竹島 信宏
がん研有明病院婦人科
【目的】早期の上皮性卵巣癌について,系統的リンパ節郭清との治療的意義と術後化学療法の有効性を検討することを目的とした.【対象と方法】2000年1月から2011年12月までの間に当院において初回治療を行った上皮性卵巣癌765例のうち,FIGO分類pT1期の239例を対象とし,後方視的検討を行った.【結果】239例中,リンパ節郭清を施行しなかった群(Nx群)は56例であった.系統的リンパ節郭清を施行した183例中,リンパ節転移は10例(5.4%)に認められた.リンパ節転移を認めたのは明細胞腺癌5例,漿液性腺癌4例,類内膜腺癌1例で,組織型毎の転移率はそれぞれ4.6%,17.4%,3.1%であった.年齢,substage,組織型,系統的リンパ節郭清の有無,術後化学療法に対して多変量解析を行なったところ,組織型(明細胞腺癌)のみが独立した予後因子であった.5年生存割合はリンパ節転移が無かった群(N0群)で88.5%,リンパ節転移を認めた群(N1群)で100%,Nx群で88.4%であり,有意差は認められなかった.明細胞腺癌においては,系統的リンパ節郭清も術後化学療法も予後因子とはならなかった.漿液性腺癌に関しては,系統的リンパ節郭清は予後因子とならなかったものの,術後化学療法が無再発期間を延長する可能性が示唆された.【結論】I期の上皮性卵巣癌では,組織型により治療戦略を考える必要がある.すなわち,明細胞腺癌は予後不良であり,現状では安易な縮小治療はできない.漿液性腺癌は系統的リンパ節郭清より術後化学療法が有効な可能性がある.粘液性腺癌はリンパ節転移の頻度が少なく,特に高分化型では郭清省略を考慮できる.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
309-309, 2014
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