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第127回学術集会(平成26年6月21日(土),22日(日))
【一般演題口演】
悪性黒色表皮腫を契機に診断に至った腹膜癌の1例
高橋 雅也, 楠木 総司, 町田 ゆり, 三輪 綾子, 長井 咲樹, 木村 美葵, 金田 容秀, 寺尾 泰久, 板倉 敦夫, 竹田 省
順天堂大学産婦人科
【緒言】黒色表皮腫は皮膚の色素沈着や角化増生および乳頭状増殖を特徴とし,肥満,内分泌疾患,悪性腫瘍が鑑別にあがる.悪性腫瘍を併発する場合は悪性黒色表皮腫と呼ばれ,極めて予後不良である.皮膚病変は主に胃癌,肺癌,乳癌等の悪性腫瘍に先行することが多いとされているが,婦人科癌との合併は稀である.今回,特徴的な皮膚症状より黒色表皮腫と診断し,腹膜癌の診断に至った非常に稀な症例を経験したため文献的考察を加え報告する.【症例】66歳3経妊3経産,閉経43歳.口腔粘膜粗造を自覚し,その後頭部角化局面,仙骨部,右第四指の乳頭状増殖病変を主訴に当院皮膚科初診となり黒色表皮腫と診断された.皮膚病変出現4ヶ月後から腹部膨満感が出現しCT上著明な腹水貯留と腹膜播種病変が疑われ全身精査を行ったが原発不明であったため婦人科癌鑑別目的に当科紹介受診となった.ダグラス窩穿刺による腹水細胞診はAdenocarcinomaであった.血液検査上,CA125:854U/mlと上昇を認めた.MRIでは子宮,卵巣に異常は認めず,PET-CTでは腹膜肥厚部位と腸間膜,大網の多数の結節に一致してSUVmax6.5の異常集積を呈した.以上より,腹膜癌臨床進行期分類III期と診断し,Neoadjuvant chemotherapyを開始したところ皮膚病変は著明に改善した.またCA125は基準値内まで減少し,腹水の消失を認めた.今後Interval debulking surgeryを行う予定である.【結語】今回,黒色表皮腫の診断を契機に腹膜癌の診断に至った希少な一例を経験した.黒色表皮腫と診断された場合,婦人科癌を含めた悪性腫瘍の合併を考慮し早急な精査,治療を行う必要性があると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(2)
312-312, 2014
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