関東連合産科婦人科学会
会員ログイン 代表挨拶
総会・学術集会
学会誌
定款
公告
利益相反
役員構成
事務局案内
求人施設一覧
関連リンク

 関東連合産科婦人科学会会誌 オンラインジャーナル

<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る

第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【特別企画 生殖医療討論会】
生殖にも男女同権を


根津 八紘
産科・婦人科・小児科病院医療法人登誠会諏訪マタニティークリニック


 男尊女卑的社会の中で育てられて来た私が,インターン時代の「医者は患者のためにある」という教育を経て,45年間の産婦人科人生を過ごして来た.その中で,様々な問題に遭遇する度に,私は目の前の女性に自分を置き換え,その患者の立場に立ちながら問題解決を図りつつ,将来への有るべき姿を模索して来た.そこで得たテーマが「生殖にも男女同権を」ということであったのである.  その一つが不妊症治療に関することであった.「嫁して三年,子無きは去る」「石女うまずめ」という言葉によって,「妊娠できないのは全て嫁(女性)の所為せいである」と見做されていた不妊部門.  私はその不妊部門を,治療によって妊娠が可能である「難妊症」と呼ぶに値する人達に対し,配偶子(精子や卵子)が無かったり,子宮が無かったりして,絶対に夫婦の子どもを妊娠することが不可能な,これぞ「不妊症」と呼ぶに値する人達を「生殖障害者」とし,区別して関わるべきであると考えるに至った.そして更に,後者の「生殖障害者」に対しては,ボランティアの助けを得て妊娠を可能とする「扶助生殖医療」が,患者の希望によって行われるようになるべきであると考えるに至ったのである.扶助生殖医療の中には@無精子症に対する提供精子による非配偶者間人工授精(AID)や非配偶者間体外受精,A卵巣不全に対する提供卵子による非配偶者間体外受精,B先天的・後天的子宮欠損症に対する代理出産がある.しかし将来的には,iPS細胞や子宮移植,又は人工子宮等によって,生殖障害者も「難妊症」の仲間入りをすることになるかも知れない.  その次が妊娠・出産・育児に関することである.妊娠・出産は,女性にしかできないことであり,安心して女性が妊娠・出産できる環境の中で,それ等を遂行できてこそ男女同権社会と言えるであろう.しかし,日本の社会の現実は,相変わらず妊娠・出産が女性にとってのデメリット的存在として残り続けている.さらに育児に関しても,両性の下でとは言われつつも,謳い文句に終始していると言っても良いであろう.  又,前述の亜型と言うべき,結果的に女性が妊娠させられた立場に置かれ,女性自身がその責任を一手に引き受ける形で人工妊娠中絶をせざるを得なかったり,子どもを産んで特別養子縁組に出すか,シングルマザーとしての道を歩むか等,いずれかの道を女性は否応無く選択せざるを得ない立場に置かれることがある.これ等のことは法的な面が多いとしても,早急によりサポートが必要とされている問題である.  以上,直接関わる立場にある我々産婦人科医達は,率先して解決へ向け,尽力する必要があることを忘れてはならないのである.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 357-357, 2014


一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内
TEL:03-3288-0993 FAX:03-5275-1192 E-mail:kantorengo@jsog-k.jp
Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会