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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【オープニングセミナー 教育プログラム1】
子宮頸部嚢胞の取り扱い


宮本 強
信州大学医学部附属病院産科婦人科


 日常診療において遭遇する子宮頸部嚢胞には,ナボット嚢胞,分葉状頸管腺過形成(LEGH),最小偏倚型粘液性腺癌(MDA)などが含まれるが,その診断や対応法は確立されていない.本プログラムでは現在の我々の取り組み方について解説する.  従来,MDAは細胞異型に乏しく,生検でも診断が難しいため術前診断は困難とされた.我々はMDAが胃型粘液を発現することを報告し,さらに頸管粘液から胃型粘液を検出するキットを開発して新たなMDAの術前診断の可能性を提示したが,時を同じくして組織型がMDAに類似し,やはり大量の胃型粘液を産生するが基本的に良性疾患であるLEGHが提唱され,診断精度の向上が求められた.そこで我々は全国多施設共同研究を施行し,症例の解析を施行した.  その結果,頸部嚢胞の鑑別診断にはMRI,頸管部細胞診,胃型粘液の検出の組み合わせが有用であることを見出した.ナボット嚢胞ではMRI上,境界明瞭な嚢胞を呈し,細胞診および胃型粘液は陰性であった.MDAや腺癌では画像上嚢胞に加えて境界不明瞭な充実部を呈し,細胞診異常を伴うものが多かった.またLEGHではMRI上,頸部の中心部に小嚢胞の集簇や充実部と周辺に比較的粗大な嚢胞(コスモスサインと仮称)がみられ,胃型粘液は陽性で軽度の細胞診異常をともなうことが特徴であった.これらの結果から我々は対応のフォローチャートを作成し,臨床応用している.  この方法で84例に臨床診断を行い,うち10例を“MDA・腺癌疑い”としたが,術後病理診断では“MDA・腺癌”4例,“LEGH with atypia”1例,“LEGH”5例であり,この方法は悪性病変の検出に有効であると考えられた.また“LEGH疑い”と臨床診断した症例は52例あり,詳細なインフォームドコンセント後に39例を3〜6か月間隔で1年以上follow upしている.このうち3例に病変の増大を認めたため子宮全摘術を施行したところ,2例にLEGH with atypiaを認めた.またナボット嚢胞と診断した症例はフォローアップとしているが所見に著変を認めていない.  こういった結果から我々のプロトコールは概ね安全で有効であると思われる.とりわけ対応に苦慮することが多いLEGH疑い症例の多くは安全に経過観察可能と考えられるが,その一方で,病変部の増大を呈する場合は診断的円錐切除や子宮摘出を検討するべきと考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 360-360, 2014


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