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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【ワークショップ1―私たちはこうしている―】
子宮頸癌IIB期の治療を考える ―手術それともCCRT―


池田 仁惠
東海大学医学部専門診療学系産婦人科


 本邦の子宮頸癌治療ガイドラインには,広汎子宮全摘術はIIB期の推奨治療オプションのひとつとして,CCRTとともに記載されている.これに対して,米国のNCCN,欧州のESMOのガイドラインでは,IIB期に対して手術を推奨オプションとする言及は見られず,CCRTが推奨されている.  わが国においても,IIB期症例に対して手術が施行されるケースは年々減少傾向にあるが,それでも2012年度には約40%のIIB期症例に手術が施行されている.これは日本と欧米との大きな違いであり,広汎子宮全摘術が先人たちにより根治性の高い手術として確立,改良されてきた歴史的背景によるものと推察される.  IIB期症例に手術を施行した場合,約30から50%の症例に骨盤内リンパ節転移を,10から30%に傍大動脈リンパ節転移を認め,術後補助療法としてCCRTは必須である.しかしながら術後放射線療法は,リンパ浮腫や腸閉塞などの晩期合併症をきたすことが多く,今日では初回治療としてCCRTが推奨される傾向にある.  したがってIIB期症例に対して広汎子宮全摘術を施行する場合には,初回治療のCCRTをこえるアドバンテージを有する必要がある.手術療法のメリットは,@病理組織学的所見に基づいた正確な術後進行期の決定ができ,治療の個別化が可能であること,A放射線抵抗性の癌でも治療可能であること,B若年者では卵巣機能の温存が可能であることなどである.これに対して放射線治療のメリットは,@侵襲が少なく高齢者や合併症をもつ症例においても,比較的安全に施行し得ること,A排尿障害を避け得ることなどである.  われわれの検討では,IIB期の5年生存率は85%で,pT2b期41例中22例(53.7%)に骨盤内リンパ節転移を認めた.骨盤内リンパ節転移陽性で傍大動脈リンパ節郭清を追加した17例中6例(35.3%)に傍大動脈リンパ節転移を認めた.骨盤内リンパ節転移陽性のIIB期症例は,骨盤内リンパ節転移陰性例に比して予後不良であり,さらに遠隔転移を伴う傍大動脈リンパ節転移陽性のIIB期症例は傍大動脈リンパ節転移陰性に比して予後不良である.systemic diseaseと考えられるリンパ節転移陽性の再発高リスク群においては,手術により完全に癌組織を摘出し,術後に化学療法を追加することで,予後改善につながる可能性がある.  今回のわれわれのデータは,子宮頸癌IIB期の治療を考えるうえで,手術療法(広汎子宮全摘術)が,骨盤内および傍大動脈リンパ節転移陽性の再発高リスク因子を有する症例に対して検討されるべき治療オプションであることを示唆している.現時点では,術前のリスク因子の評価,術後補助療法の必要性,治療合併症等を考慮しつつ決定されるべきであると考える.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 366-366, 2014


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