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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【ワークショップ1―私たちはこうしている―】
子宮頸部扁平上皮癌に対する画像誘導小線源治療
野田 真永, 中野 隆史
群馬大学大学院医学系研究科病態腫瘍制御学講座腫瘍放射線学分野
本邦での子宮頸癌に対する放射線療法の治療成績は早期症例では手術療法に匹敵し,手術非適応となる局所進行期症例でも約半数の患者が5年生存することが示されている.子宮頸癌の局所制御において,線量集中性に優れた腔内照射などの小線源治療の果たす役割は大きい.従来から腔内照射では,正側2方向のX線写真を用いて,A点などの画一的な基準点に対する線量処方を行う2次元治療計画に基づき施行されてきた.
これに対し,MRIやCTなどを用いた3次元治療計画に基づき小線源治療を施行するのが3次元画像誘導小線源治療である.アプリケータ装着状態でのCT画像を用いて治療計画を行うと,子宮の外輪郭の同定および膀胱,直腸/S状結腸,小腸などの子宮周囲の臓器の描出が可能となる.これにより子宮局所への適切な線量投与および子宮周囲臓器に対する不要な線量投与の軽減が可能となり,その結果,従来の画一的なA点線量処方による2次元小線源治療と比べ,局所制御率の向上ならびに晩期障害予防を期待できる.さらに,小線源治療時に内診所見やMRI所見を加えることで,腫瘍輪郭同定が容易になり,症例固有の腫瘍進展に応じた3次元小線源治療計画作成が可能となる.
従来はタンデム・オボイドのみによる定型的な腔内照射では腫瘍への線量投与が不十分となることが予測される巨大IIB期症例などに対しては,組織内照射が施行可能施設においては考慮されていた.当院ではこのような症例に,腔内照射と組織内照射という異種の小線源治療を組み合わせた組織内照射併用小線源治療(ハイブリッド小線源治療)の適応を考慮する.同治療は腔内照射におけるアプリケータの簡便性と組織内照射における線量分布の良好性の2つを合わせ持つことが特徴である.
本シンポジウムでは,簡易的3次元画像誘導小線源治療から組織内照射併用小線源治療まで,その有用性をIIB期扁平上皮癌を中心とした治療成績とともに紹介する.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
369-369, 2014
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