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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【ワークショップ2―私たちはこうしている―】
前回帝王切開前置胎盤の管理


大西 庸子, 金井 雄二, 望月 純子, 海野 信也
北里大学病院周産母子成育医療センター


 前置胎盤の頻度は帝王切開既往回数の増加に伴って増加する.当センターでは2007年より前置胎盤管理指針を導入し,前置癒着胎盤の術前評価とそれに対応する管理により良好な出血コントロールを得ている.2007〜2012年の前置胎盤症例を振り返り,帝王切開既往の有無による術中出血量や癒着胎盤診断について後方視的に検討した.  管理指針を示す.24週以降の超音波所見によりレベル分類する.子宮筋層の菲薄化,子宮膀胱壁間の豊富な血流,placental lacunae,sonolucent zoneの消失の4つの所見を1つも認めない場合は癒着胎盤の可能性が低いレベルIとし,4つの所見すべてを認める場合を癒着胎盤の可能性が極めて高いレベルIIIとする.1〜3つの所見を認め癒着胎盤が否定できない場合はレベルIIに分類する.全例に自己血貯血を行い,レベルI・IIは37週頃,レベルIIIはステロイドの投与を行い新生児リスクがほぼ回避できる34週頃に帝王切開とする.レベルIIIでは帝王切開開始直前に両側尿管ステントを留置し,内腸骨動脈にocclusion balloonを留置する.胎盤を避けて子宮切開して児を娩出し,胎盤は剥離せずに子宮切開創を縫合する.子宮動脈塞栓術やballoon occlusionにより出血をコントロールしたうえで子宮摘出術をすすめる.レベルIIはinterventional radiologyが可能な手術室でAラインを確保し,子宮表面の怒張血管や胎盤透見など,癒着胎盤を示唆する開腹所見によりレベルIIIに準じて対応する.  2007〜2012年までの前置胎盤は181例で,レベルI,II,IIIはそれぞれ157,16,8例であった.病理学的癒着胎盤はレベルI,II,IIIそれぞれ5,5,7例(3,31,88%)であったが,出血量(mean±SD)は1149±728ml,1203±599ml,1881±1135mlで各レベル間に有意差を認めなかった.181例中30例(17%)は帝王切開の既往があった.レベルI,II,IIIはそれぞれ14,9,7例で,このうち病理学的癒着胎盤は3,4,6例であった.出血量は1578±1133mlで,適応切開既往のない症例より有意に多かった.帝王切開既往例では癒着胎盤の頻度が13例(43%)と有意に増加したが出血量に差を認めず(1942±1027 vs 1935±951ml),コントロール良好であった.  癒着胎盤の診断精度は,感度50%,特異度97%であったが,帝王切開既往では感度63%,特異度79%で,超音波所見別の特異度も67〜76%と低かった.一方,帝王切開既往のない症例の特異度は99%であった.  帝王切開既往前置胎盤は術中出血量が多く癒着胎盤の頻度が高くなるため,出血対策が大切であると思われた.また,術前に癒着胎盤を完全に否定するのは困難であり,常に癒着胎盤の可能性を念頭に置く必要があると思われた.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 370-370, 2014


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