|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【若手ポスターセッション1】
CNS lupusによる痙攣により児に低酸素虚血性脳症を生じた1例
小林 奈津子1, 青木 茂1, 長谷川 良実1, 榎本 紀美子1, 葛西 路1, 笠井 絢子1, 倉澤 健太郎1, 高橋 恒男1, 平原 史樹2
横浜市立大学附属市民総合医療センター総合周産期母子医療センター1, 横浜市立大学附属病院産婦人科2
Systemic lupus erythematosus(SLE)は生殖年齢女性に好発するため,SLE合併妊娠の報告は多数認めるが,妊娠に伴うCentral nervous system(CNS)lupusの報告は少ない.今回我々は,CNS lupusによる痙攣発作が原因で,児にHypoxic ischemic encephalopathy(HIE)を生じた1例を経験したので報告する.症例は34歳,0回経妊0回経産.23歳でSLEと診断され,30歳より投薬なしに経過観察となり,34歳で病状が安定していたため妊娠が許可された.自然妊娠し,初期より当院で妊婦健診を受けており,経過は順調であった.妊娠35週1日に頭痛,右頚部の痛み,全身倦怠感の症状を認め,3日後に全身の強直間代性痙攣が反復出現したため当院に救急搬送された.児はNon reassuring fetal statusのため,全身麻酔下での緊急帝王切開で分娩された.出生当日より新生児痙攣があり,日齢15日目に施行した頭部MRI T1強調像では,基底核,視床,運動野皮質にhigh intensity areaを認め,HIEと診断された.3歳までの発育経過は正常で,後遺症は認めていない.一方,母体は頭部MRI T2強調像で左前頭葉と頭頂葉に多発するhigh intensity areaを認め,CNS lupusと診断された.ステロイドパルス療法により軽快し,分娩後16日で退院となったが,左不全片麻痺の後遺症が残った.安定しているSLE患者にも妊娠中にCNS lupusを生じる可能性があり,またCNS lupusによる痙攣発作は児にHIEを引き起こす原因となり得る.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
378-378, 2014
|