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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【若手ポスターセッション1】
院内PHCに対する緊急時一斉メール送信システムの導入―子宮内反・癒着胎盤症例に遭遇して―
上野 悠太, 杉田 匡聡, 朝見 友香, 上野山 麻水, 近藤 一成, 喜多川 亮, 佐藤 奈加子, 忠内 薫, 角田 肇
NTT東日本関東病院産婦人科
【緒言】夜間・休日時の当直医にとっては,緊急帝王切開や分娩時の大量出血の際に初期対応を迅速に行うためには,産婦人科医以外でも医療スタッフの応援は心強いものとなる.しかし,当院では夜間は入院患者に配慮し全館放送を行わない方針のため,院内他科当直医等への電話での応援要請は困難である.そこで,院内PHCのメール機能に着目して,あらかじめ登録しておいた文言を,登録してある当直医用,夜間スタッフ用,病院敷地内在住のレジデント用などのPHCに一斉メールをすることができるシステムを導入した.今回,分娩後の子宮内反・出血多量症例に対して,このシステムを利用したところ,短時間で多くのマンパワーを確保することができるようになり,出血性ショックに対する初期対応がスムーズに行うことができたので報告する.【症例】32歳,1経妊0経産婦.夜間に正常分娩となり,8分後に胎盤が娩出したが同時に子宮が内反し,胎盤は剥離しない状態のため,オンコール医,さらに1人の産婦人科医をコールしたが出血が持続した.本システムを用いて警備員より『分娩室で急変』というメールを緊急送信したところ,速やかに20名程度の他科医師・看護師の応援を得ることができ,さらなる点滴留置,輸血の指示,手術の手配など初期対応を行うことが可能となった.その後手術室にて胎盤を用手剥離し,子宮を整復し救命することができたが,合計出血量は6130gであった.【考察】院内PHCに一斉メールを送る本システムは,短時間でスタッフを確保することができ,迅速な初動治療を行うことが可能となることから,産婦人科医不足を補う観点からも産科緊急時のリスク回避には有用であると思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
382-382, 2014
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