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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【若手ポスターセッション2】
バクリバルーンが奏功した経膣分娩後弛緩出血2例


遠藤 真一, 島岡 享生, 古江 明子, 吉村 嘉広, 松澤 晃代, 石川 隆三, 大西 庸子, 河野 照子, 金井 雄二, 望月 純子, 海野 信也
北里大学病院周産母子成育医療センター産婦人科


[緒言]当院で行った分娩時大量出血例に対するIVRで7.9%に神経障害や臀筋壊死を,IVR後妊娠では癒着胎盤や再度大量出血等重大な合併症を認めた.低侵襲的止血法として経腟分娩後の弛緩出血2症例にBakriバルーンを使用し,良好な止血が得られたので報告する.[症例1]32歳,2経妊0経産.妊娠40週3日に3676gの児を娩出.子宮収縮薬と双手圧迫,ガーゼ圧迫を試みたが分娩35分後の出血量は2630mlに達した.ショックインデックス(S.I.)は0.8,Hb:7.0g/dl,血小板:13.6万/μl,PT-INR:1.25,フィブリノーゲン:212mg/dl,AT-3:61mg/dlで,超音波ガイド下にBakriバルーン(生食300ml)を留置した.子宮の弛緩は持続したが出血量は減少し,24時間後抜去した.留置後の出血量は209ml,輸血は行わず産褥7日に退院した.[症例2]33歳,0経妊0経産.38週3日に経腟分娩で3428gの児を娩出後出血が持続し,分娩3時間30分後に当センターへ搬送された.S.I.は2.0,Hb:8.2g/dl,血小板:15.7万/μl,出血量は前医を含め2812mlであった.生食300mlでBakriバルーンの留置を試みたが滑脱し150mlで留置した.出血は130ml/30分と若干減少したが,非凝固性の出血が持続し搬送後2時間にHb:3.3g/dl,血小板:9.6万/μl,PT-INR:1.31,フィブリノーゲン:161mg/dl,産科DICスコアは10になった.赤血球濃厚液10単位,新鮮凍結血漿15単位,AT3製剤を投与した後,出血は抑制された.留置時間は22時間,総出血量3809mlで産褥6日に退院した.2例とも合併症は認めていない.[考察]BakriバルーンはIVRより簡便で低侵襲であり,弛緩出血に対し第一選択の治療法となる可能性が示唆されたが,症例の選択や使用法の最適化が課題と考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 384-384, 2014


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