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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【若手ポスターセッション2】
IV期乳癌合併妊娠の1例


津曲 綾子1, 永井 優子1, 高尾 航1, 小関 剛1, 大原 玲菜1, 八木 洋也1, 安部 加奈子1, 小畠 真奈1, 濱田 洋実1, 吉川 裕之1, 坂東 裕子2, 宮園 弥生3
筑波大学産婦人科1, 筑波大学乳腺甲状腺内分泌外科2, 筑波大学小児科3


 妊娠期乳癌は非妊娠期と比較し予後不良とされ,理由の一つとして乳房の妊娠性変化により診断が遅れることが指摘されている.今回我々は,妊娠中にIV期乳癌との診断に至り,妊娠29週で母体適応のため帝王切開分娩となった症例を経験したので報告する.症例は40歳の未経妊婦.自然妊娠し,妊娠中期に入ってから左乳房の腫脹を自覚していた.妊娠27週より軽度意識混濁,口渇,多飲多尿,悪心嘔吐があり,呼吸困難感も出現したため妊娠28週3日前医を受診した.血小板減少,肝酵素上昇を認め,HELLP症候群疑いにて同日,当院へ母体搬送となった.高Ca血症(補正Ca 15.8 mg/dl)に対する治療を開始する一方で精査をすすめたところ,左乳房全体に硬結,左腋窩に4cm大のリンパ節を触知し,乳房針生検により,左浸潤性乳管癌(ER-,PgR-,HER2 3+)と診断された.また,CT検査にて多発リンパ節転移および骨転移,肝転移が疑われた.妊娠29週2日よりepirubicin・cyclophosphamide療法を開始したが,妊娠29週4日に呼吸困難が増悪し,母体の集中治療のために妊娠継続が困難と判断されたため,帝王切開術を行った.児は1305gの男児でApgar scoreは5点(1分後)9点(5分後)であった.術後,呼吸状態は徐々に改善し,産褥20日よりdocetaxel・pertuzumab・trastuzumab療法を2コース施行し,腫瘍の縮小を認め産褥45日で退院となった.妊娠期乳癌の早期発見のためには,産科医が乳癌診断についての知識を持って妊婦健診にあたることが重要と思われた.又,妊娠の継続が児と母体の命にとって背反する結果をもたらすことがあるため,乳癌治療医および小児科医とともに治療方針を慎重に検討することが必要である.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 387-387, 2014


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