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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【若手ポスターセッション3】
発症時期の異なる胎児完全房室ブロックの2症例
真壁 晶子, 山本 祐華, 高水 藍, 清水 操, 村上 圭祐, 平井 千裕, 依藤 崇志, 牧野 真太郎, 板倉 敦夫, 竹田 省
順天堂大学医学部附属順天堂医院産婦人科
緒言:胎児完全房室ブロック(CAVB)は1/20000妊娠に生じるが,心構造異常がない場合には72-92%に母体抗SS-A/B抗体が関連している.心室心拍(VR)55bpm未満は予後不良例とされ,ステロイドやβ刺激薬などの胎児治療も検討される.今回異なる経過をたどったCAVBを経験し,今後のCAVB管理につき検討を行った.
症例1:31歳の初産婦.シェーグレン症候群合併で抗SS-A抗体128倍であり,妊娠16週より2週間毎に房室伝導速度の計測を施行していた.妊娠21週時,胎動減少のため救急外来を受診され,VR 80bpmのCAVB,心嚢液および少量の腹水を認めたため,緊急入院とした.ベタメサゾン4mg/day内服を開始し,VR 60-80bpmで経過したが心嚢液や腹水は消失した.妊娠28週頃より胎児発育遅延を認めた.妊娠30週2日,胎動減少とVR 40bpmと増悪認めたため,緊急帝王切開術とした.児は808gでAp1/1,出生後心拍が40-50bpmであり,生直後開胸ペーシングを施行した.
症例2:28歳の初産婦で母体合併症は認めなかった(抗SS-A抗体陰性).妊娠28週の妊婦健診時に胎児心肥大と不整脈を指摘され,当院紹介受診となった.CTAR49.6%,VR47-48bpmのCAVBであり入院管理とした.ステロイドの内服は行わずVR低下しており塩酸リトドリンの投与を行った.VR50-55bpmで経過し妊娠33週頃より心室性期外収縮を認めるようになった.妊娠36週0日に児の胸水が出現したことから緊急帝王切開術施行した.児は2634gでAp8/8,出生後臍静脈より経皮的ペーシングを施行した.
結語:CAVBはその発症時期や母体背景により異なる病態が考えられる.母体背景に基づく加療を行う事で母体への負担軽減と胎児への治療効果をあげる事が望まれる.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
387-387, 2014
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