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<< 学会誌へ戻る 【はじめに】リンパ管腫は，拡張したリンパ管による大小の嚢胞からなる良性腫瘍であり，ほとんどが胎児期もしくは新生児期に診断される．発生部位は頸部が最も多く，次に腋窩もしくは腋窩〜前胸部のものである．今回，妊娠15週に胎児腋窩リンパ管腫と診断し，30週で緊急帝王切開を施行した1例を経験したので報告する．【症例】29歳，0経妊0経産，自然妊娠．15週6日に右前胸部から腋窩にかけて多房性の腫瘤（2.6×1.6cm）を認め，腋窩リンパ管腫を疑った．17週4日，インフォームドコンセントの後に羊水染色体検査を施行したところ，46,XXであった．他の形態異常はなく，腫瘤の胸腔内への浸潤は認めなった．23週頃より腫瘤が増大し，28週6日には15×10cmに達した．中大脳動脈最高血流速度（MCA-PSV）は74.3m/sec（1.9MoM）と上昇，子宮収縮も増強したため入院管理とし，塩酸リトドリンの持続静注を開始した．MCA-PSVは2.0MoM前後を推移したが，胎児心拍数陣痛図の基線細変動は10〜15bpmで一過性徐脈を認めなかった．胎児ヘモグロビン値の検査目的で30週0日に臍帯採血を行ったところHb：5.1g/dlであり，リンパ管腫内への出血を疑った．同日緊急帝王切開術（古典的縦切開）を施行した．児は2810gの女児でアプガースコア5点/7点，臍帯動脈血のpHは7.45，Hbは5.9g/dlだった．右上肢は前胸部から背部，前腕に至る暗赤色の腫瘤に覆われていた．出生直後より輸血を開始し，日齢2にリンパ管腫の内容液（1085ml，淡血性）を穿刺吸引した．日齢13，リンパ管腫部分切除術を施行し，組織学的にlymphangiomaと診断した．【考察】リンパ管腫例においてはMCA-PSV値は胎児貧血の指標として有効であり，腫瘤径の経時的変化とともに管理上重要と考えられた． 関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 388-388, 2014 |
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