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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【若手ポスターセッション3】
Three-dimensional computed tomographyにより出生前診断を行った胎児骨系統疾患の1例
柳澤 愛実, 小松 篤史, 吉川 美登利, 木下 紗林子, 設楽 理恵子, 森住 佑子, 中山 敏男, 河合 有希, 永松 健, 山下 隆博, 大須賀 穣, 藤井 知行
東京大学女性診療科・産科
【緒言】骨系統疾患は400を超える疾患が存在し,出生前の診断確定に難渋することも少なくない.近年,胎児骨系統疾患の診断では3D-CTが有用であると報告されている.今回胎児骨系統疾患が疑われたため,Three-dimensional computed tomography(3D-CT)を施行し周産期管理を行った症例を経験したので報告する.【症例】34歳2経妊1経産,骨系統疾患の家族歴なし.前医にて妊娠15週でcystic hygromaを認め,17週に羊水検査を施行し正常核型(46,XY)であった.30週2日前医にて四肢短縮・胸郭低形成・羊水過多の所見から胎児骨系統疾患が疑われ,32週2日当院紹介受診となった.当院超音波検査では,前腕骨と左下腿骨の骨折・左前腕骨の彎曲・多指症が疑われ,また胸郭周囲長/腹囲≒0.73と胸郭低形成を認めた.X線被曝に関して十分なインフォームドコンセントを得た上で3D-CTを施行した.上記所見に加えて矢状縫合早期癒合や扁平頭蓋底を認め,短肋骨多指症候群等の骨系統疾患が鑑別に挙げられた.経腟分娩による児の骨折の危険や出生後の児に対する呼吸管理の必要性を考慮し,妊娠37週3日選択的帝王切開術を施行した.児は3428g男児,ApS 4点/8点,UApH7.257,出生後挿管されNICU入室となった.生後,多嚢胞腎・腎性尿崩症など腎疾患や胸郭低形成に加え,頭蓋骨早期癒合症と多指趾症を認めたことより,短肋骨多指症候群と類似した病態を呈するSensenbrenner Syndrome(頭蓋外胚葉性異形成症)の可能性が高いと考えられた.【結語】胎児骨系統疾患の診断において,3D-CTの有用性が示された.特に,胎児の肋骨や頭蓋骨を詳細に評価しえる点が特徴であり,出生前診断精度の向上が期待される.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
388-388, 2014
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