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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【若手ポスターセッション4】
子宮峡部に胎嚢を認め帝王切開瘢痕部妊娠との鑑別が困難であった一例


杉田 洋佑1, 米山 剛一1, 米澤 美令1, 白井 有香1, 渡邉 建一郎1, 大内 望1, 桑原 慶充1, 寺崎 美佳2, 竹下 俊行1
日本医科大学付属病院女性診療科・産科1, 日本医科大学解析人体病理学2


 近年,帝王切開率の上昇に伴い,帝王切開の瘢痕部近傍に着床する症例が増加している.帝王切開瘢痕部妊娠とは瘢痕部に着床した異所性妊娠を指し,大量出血や子宮破裂のリスクを伴うため,妊娠中絶の適応となる.他方,瘢痕部ではなく近傍の子宮峡部に着床し,瘢痕部内に胎嚢が発育するケースが存在し,こうした症例に対する管理方針は示されていない.今回,瘢痕部妊娠との鑑別を要し,子宮全摘を施行した症例について病理組織学的特徴を踏まえ報告する.症例は34歳,1回経妊,1回経産(帝王切開術).無月経を主訴に前医を受診した.頸管妊娠が疑われ妊娠7週5日に当院へ紹介受診となった.経腟超音波検査で,子宮下節の帝王切開瘢痕部に接して児心拍陽性の胎嚢を認めた.カラードプラ法では,胎嚢の周囲に広範囲に血流を認め,着床部の同定は困難であった.骨盤MRI検査でも同様の所見を認めた.帝王切開瘢痕部妊娠,もしくは帝王切開瘢痕部に進展した子宮峡部妊娠と診断し,妊娠中絶の適応と判断した.患者に治療法について説明したところ,妊孕性温存の希望なく,腹式単純子宮全摘術を選択した.肉眼的に胎嚢は子宮峡部の後壁に付着していた.病理組織学的検査にて,着床部位は子宮峡部後壁側に位置し,瘢痕部妊娠は否定された.本症例において絨毛,トロフォブラストと脱落膜,子宮筋層との関係を明瞭化するために免疫組織化学的手法を用いて検討した.トロフォブラストに対してhCG,hPLを,筋層に対してDesmin染色を施行した.その結果峡部の子宮筋層において,hPL陽性の中間型トロフォブラストの高度の侵入が観察された.癒着胎盤に至る初期の病理学的変化を捉えた貴重な症例であると考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 392-392, 2014


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