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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【若手ポスターセッション4】
子宮内操作により骨盤内炎症性疾患を発症した3例
茂木 美里, 今井 文晴, 小林 未央, 飯塚 円香, 北原 慈和, 岸 裕司, 峯岸 敬
群馬大学医学部附属病院産婦人科
【緒言】子宮内膜細胞診などの子宮内操作は通常診療で頻用されている手技である.しかし,その後稀に骨盤内炎症性疾患(Pelvic Inflammatory Disease,以下PID)を発症することがある.今回我々も反復症例を含む同様の経過を辿った3症例を経験したので,共通する背景などについて検討し報告する.【症例1】33歳,開腹両側内膜症性嚢胞切除後,両側卵管留水腫で定期通院時に内膜細胞診を施行.翌日から発熱を認め,PID疑いにて抗生剤投与を開始し症状は改善した.その後解凍胚移植を施行したが,翌日に発熱を認め両側卵管留膿腫の診断のもと抗生剤投与による保存的治療を行った.しかし間欠熱が持続し,続発的に子宮留膿腫も出現したため子宮内腔洗浄を連日施行し炎症は鎮静化した.その後の外来経過観察にても両側卵管留水腫は残存していたため,腹腔鏡下両側卵管切除術を施行.改めて体外受精胚移植を施行し妊娠成立.現在妊娠継続中である.【症例2】44歳,左内膜症性嚢胞術後,右卵管水腫で定期通院時に内膜細胞診を施行.翌日から発熱を認め右卵管留膿腫と診断し抗生剤投与を行った.発熱が遷延していたため経腟的に卵管留膿腫を穿刺排膿した.その後解熱し症状は改善した.【症例3】42歳,腹腔鏡下右卵管形成術後,左卵管水腫を認めた.子宮筋腫,右卵巣腫瘍を合併していたため定期通院時に内膜細胞診を施行した.翌日から発熱し卵管留膿腫の疑いにて抗生剤投与するも奏功せず.経腟的に穿刺排膿し症状は改善した.【結論】いずれの症例もPID発症前から卵管留水腫などの骨盤内病変を有しており,1例は反復症例であった.そのような合併症がある場合には子宮内操作によってPIDを発症する可能性があることを念頭に置く必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
393-393, 2014
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