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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【若手ポスターセッション4】
中用量ピル内服中に両側肺動脈血栓と下大静脈血栓を認めた一例
林 伸彦, 中村 奈律子, 鈴木 義也, 長澤 亜希子, 藤村 尚代, 海野 洋一
松戸市立病院産婦人科
【緒言】ピル内服中は血栓症発症のリスクが上昇することが知られている.今回われわれは,中用量ピルを内服中に両側肺動脈と下大静脈に巨大血栓を認めた症例を経験したので報告する.【症例】49歳2G2P.2年前に過多月経のため近医産婦人科を受診し.粘膜下筋腫を指摘された.月経量調節のため中用量ピルを処方され,定期的に内服していた.4ヶ月前より全身倦怠感を認めていた.歩行困難な程の労作時息切れを自覚し,近医内科を受診.過多月経に伴う貧血の診断で翌日当院へ紹介となった.当科受診時,膣鏡診にて2cm大の筋腫分娩を認めたが,性器出血はなかった.Hb 9.5g/dL,D-dimer 5.4μg/mLであった.頻呼吸とSpO2の低下(90%)を認めた.胸部レントゲンにてKnuckle signを認めた.12誘導心電図ではIII誘導及びV1-4での陰性T波と,II誘導及びV6でのST低下を軽度認めた.造影CTにて,両側肺動脈主幹部(90%狭窄)と下大静脈(80%狭窄)に血栓を認めた.ICU管理下に,ウロキナーゼによる血栓溶解療法とヘパリンによる抗凝固療法を行った.10日後の造影CTにて血栓縮小を確認した.右心負荷所見は消失し,呼吸状態は安定した.ワルファリンの内服を開始し,外来経過観察となった.【考察】ピル内服による血栓症のリスクは既に社会的にも注意喚起されている.本症例のように40歳代での使用は特に慎重な対応が望まれる.【結語】中用量ピル内服中に巨大血栓を認めた症例を経験した.血栓溶解療法と抗凝固療法により軽快し,現在後遺症なく経過している.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
394-394, 2014
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