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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【若手ポスターセッション7】
合併症治療目的で閉鎖病棟管理を要した卵巣癌の1例
村田 周子1, 岡田 純奈2, 橋本 友美1, 池田 真理子2, 板井 侑里1, 藏本 吾郎1, 高橋 伸子1, 金野 潤1, 秋澤 叔香1, 石谷 健1, 松井 英雄1
東京女子医科大学産婦人科学講座1, 東京都立墨東病院婦人科2
【症例】49歳女性,0経妊0経産.5月下旬に突然の腹痛,卵巣腫瘍破裂疑いにて当科に救急搬送となった.同日に緊急開腹手術を行い両側付属器切除+虫垂切除術を施行した.術後病理組織診断は,卵巣漿液性腺癌1c(a)期であり,術後補助化学療法としてDocetaxel(80mg/m2)+Carboplatin(AUC 6)を6サイクルを施行し,10月に終了した.12月のPET/CT検査も含めてその後は2年以上経過した現在まで再発徴候を認めていない.しかし,卵巣癌治療の経過中に多くの合併症治療に難渋した.初診時体重92kg(BMI 35.9kg/m2)で41歳頃から近医で経口血糖降下剤が処方されHbA1c 10%前後で推移していた.入院後はインスリン療法に変更となるも,開腹術後の創部離開に対して腹壁形成術が施行された.また複数回の両眼光凝固療法および右眼硝子体手術が施行され,その後のHbA1cは基準値内,体重61kg(BMI 24.1kg/m2)を維持している.さらに34歳頃より幻聴が出現し,統合失調症の診断にて薬物療法により寛解していたが,婦人科治療中に抗精神病薬を中止していたところ化学療法終了直前頃より幻聴が出現した.1月に転倒後の胸鎖関節膿瘍に対して鎖骨抜去術が必要となったが,不穏・幻覚が増悪し,術前の精神症状コントロール目的で3月より医療保護入院となった.術後は一般病棟に転棟し経過良好にて退院となった.【結論】大学病院の閉鎖病棟においても一般治療,特に周術期管理を施行するには,十分な準備と診療科間や看護スタッフとの緊密な連携が必須であることが判明した.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
406-406, 2014
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